井筒俊彦全集(第3巻)『ロシア的人間 1952年-1953年』

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ロシア的人間 一九五一年 ― 一九五三年 (井筒俊彦全集 第三巻)
井筒 俊彦 木下 雄介
慶應義塾大学出版会
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積ん読にしてあった井筒俊彦全集の第3巻に手をつけた。気が付いたら全12巻のこのプロジェクトも11巻まで出てしまった。全然追いつけていないわけだが、このあたりからいよいよ井筒の思想四次元殺法が炸裂していると言ってよく、この巻もロシア文学に関するテクストと、ムハンマドに関するテクスト、それにクローデル論が同居する、という謎の構成となっている。はっきり言ってめちゃくちゃな食い合わせとしか言いようがなく、年代ごとに編纂することでこんなにも「どういう人なんだ、この人は」と思わせる書き手もいないだろう。「解題」によれば「この時期の井筒は、慶應義塾大学文学部助教授として、言語学概論、比較言語学、ロシア文学、ギリシア語などの科目を担当するかたわら、旺盛な研究・執筆活動を行って」いたらしい。

付録の月報に文章を寄せているのは、山城むつみ、沼野充義、谷寿美。このうち、沼野の文章は、この時期のロシア文学プロパーのロシア文学の読みと井筒俊彦の読みを比べて、井筒は世界文学としてロシア文学を読んでいる、という指摘をしている。とはいえだ、そう言うと、こういう読み方がありがたいもののように思われてくるけれども、あれとこれとは同じことを言っている!! という指摘に過ぎず、たくさん読んでると飽きてくる。プーシキンを読んだらロシア文学が丸わかりになるんや!! というブラフめいた文章は面白いし、この巻は、井筒マジック的な横の関係性での読みよりも、縦に深く読んでいくところに面白さがあるきがする。

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