松尾潔 『東京ロンリーウォーカー: 自称・東京通たちに贈る「真のトレンディ」ガイド』

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いまをときめく「メロウ・プレジデント」松尾潔が90年代末から2000年にかけて連載していた東京の話題スポットを体験するコラムをまとめたもの。この本が著者の初単著であるのだが、本当にスゴい本。小田急サザンタワーや渋谷マークシティ、フラッグス、キル・フェ・ボン、トゥ・ザ・ハーブス、新宿タカシマヤ、そして、営団地下鉄南北線……といったもはや街の風景に溶け込んだもの、定番化しているものたちがオープンした直後を捉える貴重なドキュメントでありながら、紹介されている半分ぐらいの店はもうクローズしているのだが、真骨頂は「松尾の考える真のトレンディ・スポット厳選10」のラインナップだ。以下、ラインナップをまるごと引用するが、

  • ドン・キホーテ
  • スターバックス
  • ユニクロ
  • 大戸屋
  • QBハウス
  • ブックファースト渋谷店
  • HMV渋谷
  • オリジン弁当
  • 宇明家
  • 伊勢丹新宿店 BPQC
といった具合である。このうち、ブックファースト渋谷店、HMV渋谷、宇明家、伊勢丹新宿店 BPQCは「今は亡きもの」となっているが、他のお店は定番化・街の風景化・一般化してしまっている。打率6割なら立派なものだろう。これらの「真のトレンディ・スポット」たちには、著者が「ヒットの理由」を分析しているのだが、それらがまさに慧眼すぎて。「ドンキという装置は高級娼婦をいったん丸裸にする」、「ユニクロ着用者に対する最高の賛辞は「ユニクロに見えないね」以外にない」など、執筆から15年以上の時が経過した今なお有効な言葉となっている。いや、この分析がスゴいのではなく、逆に、現代は今なお90年代末から変わっていないのか。2001年、2011年に大きな変化を促す事件があった、けれども、実は1995年から日本って変わってないんじゃないか、という疑念が頭をもたげる。90年代 イズ ノット デッド。あいにく絶版の本書だが、文庫化などして復刊される価値は十分にある。

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