漢 a.k.a GAMI 『ヒップホップ・ドリーム』

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ヒップホップ・ドリーム
ヒップホップ・ドリーム
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漢 a.k.a. GAMI
河出書房新社
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元来ヒップホップには疎く、昨今話題のフリースタイルラップのテレビ番組なども華麗にスルーしてしまっているし、この本『ヒップホップ・ドリーム』の著者、MC漢のことも全然知らない。だが、その知らない人が語っている半生がすごく面白く読めてしまった。「新宿スタイルはリアルな歌しか歌わねえ」。この良すぎるフレーズで締めくくられる本書には、いちいち真似したくなるフレーズが満載だし、すごく良いリズムによって全編が支配されている感じがある。ちょうどマイルス・デイヴィスの自伝(『Miles: The Autobiography』)みたいな、ああいう感じだ。「チョコレート屋」、「観葉植物」、「ストリートビジネス」、「本物の不良」といった隠語で語られるヤバい話の数々を「これは、マジで書いて良いもなのか……」と驚愕しながら、一気に読んだ。

本書を読んでいてもうひとつ思い出したのがアーヴィング・ゴッフマンの娘、アリス・ゴッフマンが記した『On The Run』という本。この本で、著者はアメリカの黒人貧困層が住んでいるエリアに長年暮らしてフィールドワークをおこない、若者の多くが犯罪に手を染めるコミュニティにおけるルールや暮らしぶりを詳細に記録(その調査のなかで、著者が犯罪に協力していたのでは、という疑いが持たれて大きな問題になっていた)している。わたしには『On The Run』が伝えている世界が『ヒップホップ・ドリーム』のなかで語られる「新宿スタイル」と重なっているように思われたのだった。本書は、当事者によるエスノグラフィーとして読むことができるように思う。

リアルしか歌わねえ、だから、ラップでうっかり相手を「刺す」なんて言おうものなら、相手をホントに刺しに行かなくちゃいけない。それが新宿スタイル。リアルだから本書の言葉には重みがあるし、わたしの暮らしとはあんまり重なる部分がないんだけれども、伝わってくるものがある。真木蔵人のホント同じぐらい痺れました。

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