ヘルムート・プレッサー 『書物の本: 西欧の書物と文化の歴史 書物の美学』

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書物の本―西欧の書物と文化の歴史 書物の美学 (叢書・ウニベルシタス)
ヘルムート プレッサー
法政大学出版局
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書物に関する歴史について、当ブログではいくつか記事を書いている。たとえば、アン・ブレアによる『Too Much to Know』の紹介。情報管理技術の歴史を扱っているこの本は「本」というメディアについて大きくページを割いている。あるいは『The Cambridge History of Renaissance Philosophy』のなかの「ルネサンス期のマニュスクリプト」「ルネサンス期の出版事情や検閲」も紹介した。これらは全部英語のものなんだけれども、日本語で書物の歴史を辿るなら、このヘルムート・プレッサーによる『書物の本』が良さそうだ。半世紀ほど前の本だからちょっと古いんだけれども、古代から20世紀まで、書物がどのように作られ、どのように読まれ、どのように買われたのか、をうまくまとめている。つまり、書物の製造に関する技術史、そして書物の受容史(そして美学史)、経済史についてがこの一冊にまとまっている。モノ・ヒト・カネが揃い踏み、とでも言おうか。

とくに面白いな、と思ったのが、18世紀になって、本の値段が少しずつ下がっていき、手に入りやすくなってきた途端に「書物や版画を所有したいという欲望はますます大きくなってきた」と説明しているところ。こうした欲望の肥大化によって、より本は増産され、より安価になっていった、というサイクルが発生している、という。タマゴが先か、ニワトリが先か、みたいな話になるんだけども、まず、欲望・欲求が広がってるんじゃなくて、モノが先に手に入りやすくなったことが、欲望・欲求に火をつけた、という説明になっているのが面白い。必要があるから、需要があるんじゃなくて、まず、モノが先に生まれて、それが欲望になり、受容が発生する。こういうことって、SONYとかAppleとかのイノヴェーションの話にでてきそうじゃん。そこが良い。

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