ウラジーミル・ソローキン 『氷』

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氷: 氷三部作2 (氷三部作 2)
ウラジーミル ソローキン
河出書房新社
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ソローキンと言えば、ひたすら卑猥な言葉の連続があったり、残酷描写が強烈すぎたり……ととにかく衝撃的な作風の小説家、という印象があるのだが、「氷三部作」と題されたトリロジーのうち1番最初に発表された『氷』を読んで、また印象が変わった。本シリーズについては、作者自身がスタイルを変えて、マジで小説を書いてみた的なことを言っているのだが、これまで読んだなかでは最も小説らしい、と思うし、かなり読みやすい。例のごとく暴力やセックスはかなりふんだんに盛り込まれているけれど、ものすごくちゃんとしている。少なくとも普通に線的に読んでいけば、物語でなにが起きているのかは、把握できる。

まぁ、魅力的なのは、本作の語り口ですよ。謎の3人の人物に拉致されたと思わしき2人の人物が、気に縛り付けられて、氷でできたハンマー(これが物語のなかで非常に重要なアイテムとなる)で胸を殴られる……というシーンからはじまるのだが、どういう話なのかさっぱりわからないのだ。とりあえず、暴力的だし、ソローキンっぽいな! とは思うんだが、小説のなかでなにが起きていて、氷のハンマーとかなんなのよ、みたいな感じになる。ただ、なんかあるんだな、という引きがものすごくて、読みながらグイグイと引っ張られる。このわけわからん話を読ませる力はスゴいな、と思ったね。ソローキン、これまではものすげえ変化球投手だな、と思わせといて、実はものすげえ速球も持ってるのかよ、みたいな驚きがあった。

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