なぎら健壱 『東京酒場漂流記』

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東京酒場漂流記 (ちくま文庫)
なぎら 健壱
筑摩書房
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フォーク歌手、なぎら健壱による酒場めぐりのエッセイ、というか、これはフィールドワークの本、と言っていいのかもしれない。東京のあちこちにある「酒場」、「飲み屋」という言葉に相応しいお店に顔を出して、思い出なりなんなりを綴っている。初めて書籍化されたのが1983年なので、書かれているお店も相当に閉店しちゃっているハズだし、「神谷バー」とか「いせや」とか有名な老舗についても近年になって改装してしまっているから、本書に書かれている様子とはまったく違った現在があるハズだ。ガイドとして使おうとすると、役に立たないであろう。

しかし、逆に考えると、その現在と過去との差分にこそ、本書のフィールドワーク本としての価値がある、とも言える。要するに、過去の東京(の酒場)にはこんな店があったのね、とか、こんな酒の飲み方があったのね、という記録である。筆者が書き残している街の風景も「昔は、この街ってこんなだったのか」と思わせられた。たとえば「神田の街はとにかくキャバレーが多い」とか。昔の東京って今よりずっと猥雑だったんだな〜、と思う。

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