シモーヌ・ヴェイユ 『重力と恩寵: シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄』

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重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄 (ちくま学芸文庫)
シモーヌ ヴェイユ
筑摩書房
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シモーヌ・ヴェイユが生前にノートに書きためていた文章を編集した本。

編者であるギュスターヴ・ティボンが寄せているヴェイユの生涯に関する文章を読むと、ものすごいハチャメチャな人だったことがわかる。若くして先生の資格を取る才女、でありながら、左翼活動に激しく参加したり、病弱なのに労働者の気持ちがわかりたい! と言って自動車工場で働いて体を壊してみたり、正義に燃えてスペイン戦争に従軍しすぐに炊事場で大やけどを負って帰国したり、第二次世界大戦中は食料が手にはいる環境でも制限がある人々と同じ量の食事しか取らず、無理がたたって34歳で亡くなってしまう。

周りにいたら間違いなく「あの人、悪い人じゃ無いんだけれど、現実見えてないよね。ちょっと迷惑だよね……」と思うであろう。ヒドい言い草だけれども、超空回り人間だし、5kgのダンベルも持ち上げられないのに、ベンチプレス120kgに挑戦して大骨折……みたいな人生だったのではないか……。ものすごくよい言葉を使えば、聖人めいている。

体系だってなにかが語られている本ではない。というか、なにひとつ意味がはっきりとわからないのだが、なにかあるような気がするし、なにか引っ掻かれたような気分になるテクストの断片、という感じである。「矛盾すること。今日、人々は、全体主義を渇望しながら、全体主義に嫌悪をおぼえている」。ぼやーっと読み過ごしてしまうのだけれども、時折、ハッとするような断片に出会う。

きっと何かがある。でも、なにが書かれているのか、読み込む時間も、気力もないのだった。

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