ギュスターヴ・フローベール 『ボヴァリー夫人』

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ボヴァリー夫人 (河出文庫)
ギュスターヴ・フローベール
河出書房新社
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さすがの名作。素晴らしい小説でこれは歴史に残るに決まってるだろ、とか思う。フローベールを読むのは『紋切型辞典』以来だが、一気にわたしのなかでプレゼンスが高まった。人間の性格を描写するのに、「○○しては××し、さらには△△し……」と例がズラズラと並ぶのがとても面白い。これが写実主義ですか、と思うのだが、その描写はきっと写実的なものではなくて、過剰な感じ、というか、文学上のシーツ・オブ・サウンドみたいだった。すごい。終盤の破綻に向かっていくところをじっくりじっくりと描き上げていくところも、めちゃめちゃ嫌な感じで、ああ、こういう嫌さ、綿矢りさにもあるな……とも思った。「これはスケベな感じになるぞ〜」と予想がつくところで、期待を裏切らずにスケベでゲスいおっさんがでてきたりするのも最高。

宮本彩子さんのこの書評が素晴らしいんだけれども「自分の人生はもっと小説みたいにドラマティックであるに決まっている……!」という夢で身を滅ぼすエンマの気持ちにも共感できる一方で、31歳のわたしは、エンマが忌み嫌う夫、シャルルの気持ちもわかってしまって、苦しくなるのだった。悪い人間じゃないけども、とにかく凡庸で退屈な夫が散々にdisられるのね。ツラい。だってさ、多くの人間が凡庸で退屈な人間じゃないですか。そういうことをシャルルの描写は気づかせてくれる、というか……。

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