モーリス・メルロ=ポンティ 『眼と精神』

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眼と精神
眼と精神
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モーリス・メルロ=ポンティ
みすず書房
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現象学って全然知らないジャンルだったんだが、たまたま古書で安く手に入ったので読んでみた。メルロ=ポンティの『眼と精神』は講義録・講演録を中心とした一冊(「人間の科学と現象学」、「幼児の対人関係」、「哲学をたたえて」、「眼と精神」を収録。表題作は彼の生前最後に出版されたものだという)。てっきりとんでもなく難しいものかと思っていたけれど、なるほど、現象学ってそういう流派だったのね、とエッセンスがつかめる本かもしれない。とくに「人間の科学と現象学」はメルロ=ポンティによるフッサール入門みたいであった。世界には真理が存在していて、その真理を求めて「世界はなんであるのか」と記述するところからはじまるのではなく、「世界がなんであるかを記述する前提はどんなものであるのか」からはじまるのが現象学だったのかな、とか思った。

「眼と精神」は、芸術論でありながら、感覚・意識・身体論なのだろう。画家がどのように世界を捉えるのか、絵画とはどういう性格を持つものなのかが論じられているんだが、普通の人が考えるような視覚のモデルが逆転的に扱われている。普通の人は、視覚というものを目からイメージが入ってきて、意識のスクリーンに投影されるようなモデルで理解していると思う。しかし、メルロ=ポンティは画家が絵を描くときに、意識が描くものを取りにいって、その結果としてのアウトプットが絵になっている、的な感じで考えている……あってるかどうかわからんが、そういう感じで読んだ。哲学の言葉で書かれているからスーッと読んでしまうと、ただ目が文字の上をすべっていくだけになってしまうのだが、立ち止まりながら読むと、感覚的に「たしかに世界の見え方ってそういう風に記述できるかもなぁ」と腑に落ちる部分があり、面白い読書だった。もう少し読んでみるかとも思う。

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