『集英社ギャラリー「世界の文学」(12) ドイツ3・中央・東欧・イタリア』

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ドイツ3・中欧・東欧・イタリア/集英社ギャラリー「世界の文学」〈12〉
フランツ・カフカ
集英社
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こういう選集モノって高価だし、重いし、扱いにくい部分があるんだが、集英社から出ている「世界の文学」シリーズでもこの巻はなかなか良い。ドイツに中欧・東欧にイタリアってどんな雑な組み合わせだよ、という感じであるのだが、こんな内容が収録されている。

  • カフカ
    • 変身
    • 流刑地にて
    • 田舎医者
    • 断食芸人
    • 巣穴
    • 判決
  • ムージル
    • 三人の女
  • ゴンブローヴィッチ
    • フィルディドゥルケ
  • シュルツ
    • 肉桂色の店
  • クンデラ
    • 存在の耐えられない軽さ
  • モラヴィア
    • 侮蔑
  • パヴェーゼ
    • 短編集
カフカ、ゴンブローヴィッチ、シュルツの本はすでに読んだことがあったが、これだけ入ってて古本屋で1000円以下で売ってたりするのだから、見つけたら買いでしょう。各作家に関する情報も巻末に詳しく載っているのも良い。そして、こういうコンピレーション本に入ってなかったらモラヴィアなんか読むことなかっただろう、と思った。

そう、このなかでモラヴィアの『侮蔑』(新訳だと『軽蔑』になっている小説。未見だがゴダールが映画化している)がめちゃくちゃ良かった。ものすごく雑に言ってしまうと、現代イタリア最強のNTR小説。若い夫婦の夫の視点で綴られているんだけれども、なんか個人的な経験をギンギンに喚起しまくって、読んでいて本当にツラくなる部分もある。「最近、なんだか妻の様子がおかしいぞ(なんか俺やったっけな……?)」というちょっとしたギクシャクが、夫婦の関係を最終的にメタメタに壊してしまう。

主人公の夫がまたメタクソに鈍感で、その鈍感力も相まって妻に対して「もしかして昔のあのことで怒っているんだろう!」と原因を追求しようとするのね。でも、それが的外れだったりして「え、違うの……なんなの……」と煩悶するんです。これが、もうさ、読んでてツラかった。それ一番やっちゃいけない問い詰め方じゃん、とも思うし、問い詰めたい気持ちもわかる。付き合っている女性とギクシャクしたことがある男性は、みんな読んだ方が良いです、この小説。

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