F. M. コーンフォード 『ソクラテス以前以後』

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ソクラテス以前以後 (岩波文庫)
F.M.コーンフォード
岩波書店
売り上げランキング: 150,392
ケンブリッジ大学の古典学の先生だったコーンフォードによる講義録を読む。150ページ弱の薄さに濃ゆい内容を詰め込んだ良書。ソクラテス以前のイオニア自然学、ソクラテス、プラトン、アリストテレスという4つの区分でギリシア哲学史と、現代まで続く西洋的な伝統的思考法のコアを読み解く恐るべきテクストである。

ざっくりと流れをまとめるならば、1)イオニア自然学は「自然」という「私」の外にあるものを発見し「私」の外側の世界がどうなっているのかを説明しようとした。これに対してソクラテスはそうした思考法を役に立たないものとして捉えた。ソクラテスによって役に立つ知とは徹底して2)「私」はどのように生きるのが良いのか、という内側の問題であったからだ。ソクラテスの弟子であったプラトンは3)内へ向かう理論を精緻化し、テクストとして残した。プラトンの弟子であったアリストテレスもその内なる思考を引き継ぐ。しかし彼は、自然の体系的な観察もおこなった。つまり、4)外側へのまなざしが復活する。

外 → 内 → 内 → 外というこの知の運動の様子は極端にシンプルだけれども大変にわかりやすく、テクストの背景にあるコンテクストを得るためには有用だと思った。先日参加したアリストテレス読書会でも、哲学者のテクストだけにいきなり突っ込んでいくと轟沈する可能性が高まる、というような話が出た(気がする)。プラトンやアリストテレスを読む前に、未然に轟沈を防ぐ地図として本書はオススメできるかも。

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『日本霊異記』

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日本の古典―完訳〈8〉日本霊異記
中田 祝夫
小学館
売り上げランキング: 718,089

『日本霊異記』は、8世紀末から9世紀前半に成立した日本発の仏教説話集。正式タイトルは『日本現善悪霊異記』で、解題するならば「現代日本のスピリチュアルで奇妙な深イイ、深ワルイ話集」的な感じか。これを書いたのは景戒という僧侶で、彼が記した序文には、仏教が日本に伝わって200年以上経っているが、中国では説法に役立つようなお話集があるのに我が国にはない、ないなら俺が書くしかあるめえ、的な決意表明がある。書いてある内容は、仏像を一生懸命拝んだら言い事があった、とか、お坊さんに悪口を言ったらたちまち死んだ、とか、そういう話が116話収録されていて読んでいて楽しい。

なにせ、上巻の序文が終わってはじめに書かれているのが「天皇がセックスしているあいだにうっかりその場に入ってきちゃった家来がいて、天皇が恥ずかしい気持ちとこの野郎、という気持ちで『お前、ちょっと外にでて雷を捕まえてこい』と命じる」というよくわからない話だから、読み始めた瞬間にガッツポーズをしてしまった。ほかにも、キレイな天女の像に恋してしまったお坊さんが夢の中で天女とセックスしたり、蛇とセックスした女が死んだり、お寺でセックスした人が死んだり、ヤリマンが早死にしたり、セックス絡みのアレコレが載っている。こうした話を聞いた当時の民衆は、分別のあるセックスをしたんだろうか。

ほかに面白いのが「動物を助けたらピンチのときに助けに来てくれた!」というシリーズ。悪者に襲われて海に投げ込まれたお坊さんが「もはやこれまでか!」と思っていたら「アレ? なんか海なのに足が着くぞ……!? あ、お前はあのとき助けたウミガメか!!」という感じで、足元にウミガメがいて岸まで送ってくれた、というほんわかストーリーなどがある。イチイチ最高だ。

(なお、不真面目なので読んでいたのは現代語訳の部分のみ。気になる表現がある場合のみ、原文を参照した)

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Apple Musicで聴くブラジル音楽の魔境(3)

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Ademilde Fonseca / Série Super Divas

アデミルヂ・フォンセカ(1921 - 2012)は「ショーロの女王」と呼ばれた伝説的な歌手。器楽音楽だったショーロに歌を持ち込んだパイオニア的な存在であったらしい。こちらは「スーパー・ディーヴァ・シリーズ」というコンピレーションのひとつみたい。彼女が歌った名曲が堪能できる(一部、聴けない曲もある)。名コンピレーション『Cafe Brasil』に収録されている音源も入っていて「お、この人が、アデミルヂ・フォンセカだったのか」と思った。こういうところからサンバも発生してきているのだなあ。

Chiquinha Gonzaga / Pronde Tu Vai, Luiz?

シキーニャ・ゴンザーガというと「ブラジル大衆音楽の母」と呼ばれる作曲家がいるのだが、こちらは同姓同名のミュージシャン「ファホーの王」ルイス・ゴンザーガの妹である。ファホーは、ブラジル北東部から始まった「サンバではないブラジル音楽」。なぜかナポレオンを真似て作った牛皮の帽子をかぶり、アコーディオンをもった歌手、トライアングル、ザブンバ(スネアドラムみたいなパーカッション)の伴奏で歌うスタイルが特徴的。このアルバムは兄のルイス・ゴンザーガへのトリビュート・アルバムだったみたい。ジルベルト・ジルも参加していて、底抜けに楽しい。

Alberto Continentino / Ao Som dos Planetas

こちらは2015年新作。アルベルト・コンチネンチーノはアドリアーノ・カルカニョットなどの作品に参加してきたベーシストでこれがソロ第1作目らしい。人脈的にはモレーノ・ヴェローゾやドメニコ、カシンらとも近く本作にもドメニコ、カシンが参加している。それゆえに音の質感は、彼らのソロ・アルバムに近いポスト・ロックやニューウェーヴを上手く消化した新世代MPBという感じなのだが、まず楽曲がとんでもなく素晴らしい。凝りまくったコード進行は「これは、ブラジルのキリンジか!?」と思わせる瞬間があり、最高である。

Leonardo Marques / Curvas, Lados, Linhas Tortas, Sujas e Discretas

こちらも2015年新作。ミナス・ジェライス出身のSSW、レオナルド・マルケスの2作目。ディスクユニオンのサイトでは「エリオット・スミスとクルビ・ダ・エスキーナの邂逅」とまったく想像できないキーワードで語られているが、たしかにこのメロウな歌声はエリオット・スミスを彷彿とさせる。ミナスというとアントニオ・ロウレイロに代表される「ミナス新世代」を思い浮かべてしまうが「こういうのもあるのか!」と驚いた。マジでどうなってんだ、ブラジル音楽界、驚異の充実度である。

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片山洋次郎 『整体から見る気と身体』

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整体から見る気と身体 (ちくま文庫)
片山 洋次郎
筑摩書房
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整体師の片山洋二郎の著作を読む。芸能界・音楽界にこの人の施術を受けている人が多く、わたしは菊地成孔経由でその名を知った。整体っつーので、てっきり野口晴哉の弟子なのかと思っていたら「自分の腰痛をきっかけに整体に通ったら『自分でもできるんじゃないか』と思って、やってみたら、わりと簡単にできた」というようなことが書いてあって、え、そういうものなの……と驚いた。野口整体からはコンセプトを借りてきているみたいで、テクニカルタームは似ている。炎症や風邪のような通常であれば病気と言われる症状は、片山整体理論によれば、体がバランスをとるための自己調整機能のひとつとして考えられている。だから、炎症や風邪になればなるほど、その後の調子は良くなる、ということがあるのだ、という。まあ、たしかにそういうこともあるかもしれない。

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独立行政法人酒類総合研究所 『うまい酒の科学: 造り方から楽しみ方まで、酒好きなら読まずにはいられない』

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うまい酒の科学 造り方から楽しみ方まで、酒好きなら読まずにはいられない (サイエンス・アイ新書)
独立行政法人 酒類総合研究所
ソフトバンククリエイティブ
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新書サイズの大名著! 美味い酒を選んだり、味わいつくすために醸造学の勉強でもしようかな、と思う今日この頃だが手始めに醸造学3歩手前ぐらいの本に手を出してみた。日本酒、焼酎、ビール、ワイン、ウイスキー、ブランデー、リキュール、スピリッツ、みりん……などなど世界中の酒類の製造法と歴史について広く浅く取り扱っていて、酒好きならば読んでおいて損はない一冊であろう。蒸留酒の歴史には錬金術も深く絡んでいることが強調され、リキュールの歴史のところで、ライムンドゥス・ルルスやミケーレ・サヴォナローラ(世界史にもでてくるジローラモ・サヴォナローラの祖父)の名前がでてきたのには驚いた。とにかくこれを読んだら、いまいちわかりにくいお酒の世界のテクニカル・タームはだいたいわかると思われる(ワインについてはまだ序の口レヴェルのお話にとどまるが、これはワインの世界が魔境だからだ)。

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加藤シゲアキの小説、3冊

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Burn.‐バーン‐ (単行本)
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加藤 シゲアキ
KADOKAWA/角川書店
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仕事で。なかなか激痛をともなう読書だった。

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黒田硫黄 『映画に毛が3本』

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映画に毛が3本! (KCピース)
黒田 硫黄
講談社
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1998年から2003年まで連載されていた黒田硫黄の映画評論本を読む。漫画による映画評論本というのもほかに例をみないんではないか、と思う。映画という「動いている動画」を再構成して漫画にという「止まっている動画」に仕上げているような感じがあり、また取り上げられている作品に懐かしさもあって、面白かった。

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Apple Musicで聴くブラジル音楽の魔境(2)

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引き続き、Apple Musicで聴けるブラジル音楽の魔境的世界をご紹介していきたい。

Noel Rosa / Versões Originais, Vol. 1

ノエル・ホーザ(1910 - 1937)は26歳で早逝した天才作曲家。短い生涯のなかで200曲以上の楽曲を遺したというのだからシューベルトやモーツァルトみたいである。サンバ創成期の重要作曲家のひとりなのだが、このアルバムを聴くと「これはサンバだ! サンバとしか聴こえない!」という楽曲ばかりでなく「サンバなのか……? これはショーロでは……?」とジャンルがはっきりしないものも含まれている(前回紹介したネルソン・カヴァキーニョは全部サンバだ! と思う)。それがギター弾き語りで、実に哀愁漂う感じに歌っているところそういう未分化さが面白くもある。音質は良くないです。

Ismael Silva / the Soul of Samba

イズマエル・シルヴァ(1905 - 1978)もサンバ創成期から活躍したミュージシャンで、ノエル・ホーザとの共作も多数あるとのこと。こちらのバイオグラフィーには「最初のサンバ学校の創設者のひとり」と書かれているから大人物である。「サンバの魂」通り、「これはサンバだ!」と確信できて安心である。1957年に発表されたアルバムのようなんだけれど、編曲は相当にジャズっぽい。

Zimbo Trio / The Zimbo Trio

時代は少し飛んで、1964年に結成され今も活動をしている伝説的ジャズ・サンバ・トリオ、Zimbo Trioのファースト・アルバムを(1964年)。Apple Musicで聴けるのは1966年に出たUS盤の曲順なのだが1曲目は「イパネマの娘」で「これでしょ、あなたたちの考えるブラジルの音楽って!!」という感じである。このカヴァ、前奏部分はゆるやかに始まるのだが、それが終わるとテンポがめちゃくちゃに速くなって、ピアノ、ベース、ドラムがこれでもかッ、と暴れるので最高。激烈に音数が多いのだが、不思議とクールに聴こえるのがまた良い。

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Apple Musicで聴くブラジル音楽の魔境

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先日からサービスが開始されたApple Music。使用する前は「いや〜、レコード屋に通って掘り出し物がないか探したりするのも含めて音楽を聴くことでしょ〜、第一聴ききれないほど音源が家にあるのに無限にライブラリーを増やして聴くか〜? 聴かないだろ〜」とか思っていたのだが、実際使ってみたら「うわ、こんなのもある! あんなのもある!!」と大興奮。以前の反発はどこへいったのか、「もうCDは買わなくて良いや……だいたいココにあるもん……」という気持ちになっている。それで、せっせとミニマルテクノを聴き、

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この最高のガイドを開きながらブラジル音楽を聴きまくっている(今後こういうガイド本が注目されるようになるであろう。無限のライブラリーはあるけど、なにを聴いたら分からない、という人向けに)。本日はApple Musicで聴いた魔境的ブラジル音楽の一片をご紹介していきたい。Apple Musicを使った夏休みの自由研究的なものとして読んでいただければ。

Pixinguinha & Benedito Lacerda / The Complete Works

ピシンギーニャ(1897 - 1973)はブラジルのサロン音楽「ショーロ」の代表的作曲家である。「全集」というタイトルがついているが、フルート奏者のベネヂート・ラセルダと録音したものの全集ということであろう。1940・50年代の録音なので音質は良くないが、古典的なショーロ楽曲に触れることができる。ショーロを手っ取り早く知るのであれば、名コンピレーションアルバムの

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Marisa Monte/Paulinho Da Viola/Joel Da Nascimento/
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こちらが有効だし、音質も良い。Apple Musicの音源で気づきを得たのは「あ、これもピシンギーニャの楽曲なのか!」ということ。良いですよ、ショーロ。ブラジル音楽 = サンバ、ブラジル音楽 = ボサノヴァ、という固定観念からとても遠いところにある。クラシックとポップスの中二階という表現が似合う世界がショーロにはある。

Nelson Cavaquinho / Depoimento do Poeta

初期サンバの大大大重要人物、ネルソン・カヴァキーニョのアルバムは今の所これだけ。日本で最もブラジル音楽の中古盤が集まっているであろう新宿のディスクユニオンでもネルソン・カヴァキーニョの音源はほとんど見つけられなかったのでこうしてまとまって聴けるのは僥倖。デジタル音源化のプロセスがよくわからず、再生スピードがめちゃくちゃに不安定な箇所もあるのだが、珠玉の音源集でしょう。曲間にいちいちネルソン・カヴァキーニョの人物紹介的なナレーションが入るのがよくわからないが(ネルソン・カヴァキーニョは超重要な作曲家のひとりで、スラム街に生まれて……みたいな女性の声の紹介が入る)、聴いてもらいたいのはまずリズム。ネルソン・カヴァキーニョによる最高な歌唱も良いのだが、リズムを中心に聴いていくとボサノヴァ = 小さい声で歌っているサンバ、というコンセプトがしっくりくると思う。

V. A. / Os Bambas da Viola

こちらはヴィオラ・カイピーラ(10弦ギター)とギターによる二重奏を基本としたブラジルの田舎音楽、ムジカ・カイピーラのコンピレーション。サンバがブラジル南東部の都市部の音楽だったのに対して、ムジカ・カイピーラは要するにもう少し奥まった中西部で流行ったという。サンバが東京の音楽だとすると、ムジカ・カイピーラは名古屋あたりの音楽なのか? ブラジリアン・カントリー・ミュージックってこれなのかな、と思うのだが、大変に素晴らしかった。1990年代に「発掘」され、70歳のときに初録音をおこなったという伝説的女性ギタリスト、エレーナ・メイレレス(Helena Meirelles)の音源も収録。これまた、サンバとはすごく距離があって、ヨーロッパ経由のブラジル音楽という感じがする。なお、このアルバムでは、伝統楽曲以外にも、ミルトン・ナシメントのカヴァも収録。ミルトン・ナシメントはブラジル中西部、ミナス・ジェライス出身の国民的ミュージシャンだ。

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マヌエル・プイグ 『ブエノスアイレス事件』

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ブエノスアイレス事件 (白水Uブックス (63))
マヌエル・プイグ
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マヌエル・プイグの『ブエノスアイレス事件』を読む。彼にとっての長編3作目にあたり、大傑作『蜘蛛女のキス』のひとつ前の作品である。『蜘蛛女のキス』は映画のテクストが織り込まれた戯曲的な(変形的)純愛・性愛小説だったけれど、本作も章ごとにアメリカ映画のテクストが暗示的に提示されている。そして内容もどエライエログロサスペンスだった。プイグという人は、そういうものばかり書いているのか。速記やメモ書き、新聞記事の断片、電話の応対(電話相手が何を言っているのかテクスト上では空白になっている)普通の小説の地の文とはおおよそ性格が違うテクストが小説のなかに織り込まれ、実験作っぽい感じはあるのだが、不思議と読みにくくはない(多少時間軸が複雑なぐらい)。普通にサスペンス小説だと思った。プイグの小説って異形だけど内容は正統派、のような気がする

主人公はふたり。変なプライドと貞操観念のおかげで見事にこじらせちゃった彫刻家の女性と、容姿端麗で、生まれもそこそこ良く、経済的にも成功していたのに男性器が大きすぎるのと中折れしがちという理由で性的な不満を抱えるサド男。どっちも精神的にヤバい状態にあるのだが、本作でふたりの主人公が出会って、うまいことその精神的な危機が乗り越えられる、というハッピーエンドは用意されていない。彫刻家の女の自意識のこじらせ具合と、男性のモンモンモン具合が、読み進めれば読み進めるほどひどくなっていき、破綻を迎える。悲劇とも言えない自滅なので、なかなかに救われないのだが、書かれている精神汚染っぷりがまことに読んでいて楽しい。痛々しい楽しさ。すなわち、痛楽である。女性の方なんか自分がアーティストとして注目を浴びてインタヴューをされる妄想までしちゃってて、本当に止めてくれ……!! と思った。

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大友良英 / Guitar Solo 2015 Left

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ギターソロ 2015 LEFT
ギターソロ 2015 LEFT
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大友良英
doubtmusic (2015-07-01)
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音楽レーベル、doubtmusicはこのほど10周年だそうである。10年前に大友良英のギター・ソロのアルバムからはじまって、10周年記念盤第1弾も大友良英のギター・ソロということだからなんだか干支が一周したのに近い感覚を覚える。10年前のギター・ソロもオンタイムで聴いていたから、なんとも自分に流れた時間についても考えてしまうけれども。本作ではかつての師、高柳昌行が使用していたギターを使用し、エフェクターなども高柳のセッティングを意識したものとなっている、とのこと。

わたしは、高柳昌行の音楽をほとんど通過しておらず、つい最近になって『ロンリー・ウーマン』(1982年)を手に入れて「おお、なるほど大友良英の『Lonely Woman』や『Song for Che』という選曲はこういうところから来てたのか」という気づきがあったぐらい全然わかっていなかった。この『ロンリー・ウーマン』でも本作で大友が使用しているギターが使われている。1982年当時の高柳は50歳。大友は現在その歳を越えて録音に臨んでいて(そして、師の享年を越えようとしている)、いたるところに、故人へのトリビュートが含まれているのだろう、と思う。

で、演奏だけれども、深化の仕方に驚いてしまった。ギター・ソロという非常にシンプルな編成でありながら、ものすげえ大きな音楽の作り方がなされている。さまざまに音の響きを変えていきながら、ゆっくりとしたテンポで演奏が進められていく様子は、晩年のジョニー・キャッシュのような大御所感と渋みを感じた。ここまで端的に「渋くて」「スケールデカいなッ」と思わせる作品ってこれまでなかった気がする。10年前のギター・ソロとは、全然違う世界観のギター・ソロ。

ロンリー・ウーマン  LONELY WOMAN
高柳昌行
THINK! RECORDS (2013-08-07)
売り上げランキング: 202,137

ギター・ソロ
ギター・ソロ
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大友良英
doubtmusic (2005-02-20)
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Morrissey 『Autobiography』

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Autobiography
Autobiography
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Morrissey
Penguin Classics (2013-10-29)
売り上げランキング: 25,765
現在癌で闘病中だというモリッシーの自伝を2/3ほど読んだところで投げた。内容が面白くないわけではないのだが、延々とモリッシーのグチと皮肉が続くようなものなので読んでいて飽きる。通っていた学校の先生がどれだけ気持ち悪いやつで問題を含んでいたか、レコード会社やプロモーターの連中がどれだけ無能で使えないやつだったか、音楽メディアはどれだけ嘘の記事を書いて自分を困らせていたか……など、まぁ、The Smithsの曲の歌詞のリアルな原風景が本書を読むと見えてくるようである。これぞ、モリッシー節という感じ。

The Smithsのファンとしては、解散の真実などを期待してしまうのだが、そのへんはかなりあっさりとジョニー・マーが別なことをやりたくなってバンドを去った、という感じにとどまっている。というか、本書のなかでThe Smithsってすっごいあっさりとしか振り返られていないので、読んでがっかりする人も多かったんじゃないだろうか。モリッシーにとってはThe Smithsよりもソロでの成功のほうがずっと経験として大きく、バンドメンバーとの関係は完全に思い出話であり、かつレコード会社やプロモーターの無能さに辟易しまくっていた時期でしかない。バンドの権利問題にあたっては訴訟を起こされてもいるんだが、モリッシーにとって相当に都合の良い感じで書かれている。俺は悪くない。それもまたモリッシーらしい書きぶりであろう。

っつーか、この人、本当にたまたまThe Smithsで成功できて良かったね、という感じの人であって全然、New York Dollsのファンクラブの人で終わってもおかしくなかったんじゃないか、と思う。The Smithsを結成後は淡々とスターダムに登っていくのだが、それ以前は完全に「根拠のない自信だけがある痛い人」みたいなのね。で、友達だったA Certain Ratioのサイモン・トッピングが先に売れちゃって、先を越された……! っつーか、俺もこのままじゃヤバいかも……! と超悔しい思いをする振り返りとか最高なんだけれども……。

そういうわけで、モリッシーが続ける悪態にお付き合いできる人だけにオススメすべき本だと思った。なお、本書についてモリッシーは英語以外の出版を認めていないそうなので、モリッシーが生きているあいだに本書を読みたければ、原書にチャレンジするしかない。

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