酒井泰斗・浦野茂・前田泰樹・中村和生(編) 『概念分析の社会学: 社会的経験と人間の科学』

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概念分析の社会学 ─ 社会的経験と人間の科学

ナカニシヤ出版
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エスノメソドロジーの研究者たちによる論文集を読み終える。エスノメソドロジーというと(学生のときに受けた講義のおぼろげな記憶によれば)ヴィデオや録音によって会話や振る舞いを記録し、それを分析してあれこれ言う、みたいなものを想像していたのだが、編者があとがきで言うように、本書には会話分析は登場しない。本書の中心となっているのは、イアン・ハッキングが提唱する「ループ効果」だ。

ループ効果とは、
・人々の分類・記述に用いることができる専門的な知識や概念や方法が日常生活に提供され、
・分類・記述された当の人々によって、それらの分類・記述が、引き受けられたり・拒絶されたり・書き直されたりする
現象を指している。1)日常生活のなかから、専門的な分類や概念が抽出され、名付けがおこなわれ、2)その概念が日常生活によっても引き受けられる。3)その引き受けによって日常生活に変化が起こり、専門的な概念にも影響が発生する。具体的な例としては、各種のハラスメントがわかりやすい。今「○○ハラスメント」と新たな分類がさかんに生まれているけれど、専門的な概念を与えられることで、日常生活の書き換えが盛んにおこなわれている。ここには専門的知識と日常的な社会との関連がある。

本書に収録された論文はさまざまなフィールドで、こうした専門的な概念が社会に与える影響、そして社会から概念が受ける影響を記録している。「ほー、こういうのも社会学になるのかぁ(感心)」というのが第一の感想で、あんまりそれ以外言葉がないんだが「ハッキングってこういうことやっていたのかぁ」とか勉強になって良かった。

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