前田愛 『都市空間のなかの文学』

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都市空間のなかの文学 (ちくま学芸文庫)
前田 愛
筑摩書房
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「前田愛」というのはわたしの世代にとって懐かしい名前で「中国」と言ったら「4000年の歴史」とくるぐらい「前田愛」と「木曜の怪談」という言葉が密接に結びついている。しかし、本書はいまや歌舞伎役者の妻となった前田愛ではなく、文芸評論家のほうの前田愛の本(どうでも良すぎる前置き)。いまやレム・コールハースのエッセイが翻訳されるような世の中だが、都市論が日本で盛り上がっていた頃に刊行された、都市を媒介とした文学評論。一番最初に出てくる、数学を用いた、テクストとイメージの関係性、テクストと空間の関係性を論じた文章で「う……難しい本なのか……?」とビビってしまったが、その後に続くのは、バルトやベンヤミンといった(おそらく)当時最新の批評理論を用いた都市文学論、文学都市論だった。あと、終盤の消費社会論的な切り口は、10年ぐらい前に消費社会論が流行った(気がする)ときに読めば良かったかも、と思う。そういうわけで、頭とお尻に微妙、というのが正直な感想。東京近辺に住んでいる人にとっては、江戸の地理と江戸末期の文学から当時の風俗を浮かび上がらせていく部分は興味深く読めるだろう。結局のところ、こういうのってその都市を知らないと、群盲象をなでる状態な気もするんだが。

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