九鬼周造 『「いき」の構造』

0 件のコメント
「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)
九鬼 周造
岩波書店
売り上げランキング: 22,078
タイトルは知っているし、もしかしたら大学受験の模擬試験とかで読んでいるかもしれないぐらい有名だけれど、内容はまったく知らないタイトル、というのがある。ちょっと前に読んだ西田幾多郎の『善の研究』もそうだったが、九鬼周造の『「いき」の構造』もわたしにとっては同様のカテゴリーに位置づけられる本であった。読みはじめて驚いたね、「あ、これ『お兄さん、粋だねえ!』とかの『いき』についての本なのかっ!」と。まるで阿呆ように(あまりにタイトルだけ聞いた経験がありすぎて、内容についての興味が一切湧かなかったのだと思われる)。そういうわけで当然、著者の九鬼周造に関してもまったく知らなかったが、男爵家という高貴な血筋に生まれ、パリに渡り、ハイデガーやベルクソンに認められた哲学者とのことで、なんだかドラマティックな人であるなあ……と嘆息してしまった。

面白かったですよ、これまた。今年は昭和89年ですから『「いき」の構造』が刊行された昭和5年から84年も経っていることになる。そういう昔の人が、西洋哲学の術語を用いて、日本人に独特な美的感覚を巧みに描き出したら、大変難解なものになりそうなのに、難しく書かれているわけではない(ただ、西洋哲学の術語体系についての知識や、たまに挿入されるフランス語やギリシャ語、ドイツ語やラテン語に補足がないので、そこで挫折する人はいると思う)。昭和5年にどういう人に向けてこれが書かれていたかは気になるし、また、84年後もまだ読まれているのも違った感慨があるけど、昔の文章なのに書いてあることがわかる、って単純に考えて結構スゴいと思う。

で、「さて『いき』とは!」みたいに語りはじめる冒頭部で、いきなり「ものすごく手に入れたかったのに、いざ手に入れてしまうとめっちゃ冷めるよね」的な、あけすけに申せば「一回ヤッちゃうと、どうでもよくなっちゃうことってあるよね」的なことが論じられ、つまり「いき」とは「見えそうで見えないのがいいよね!」的な感じなんですか……? と思って大笑いしてしまった。わたしはが一番この本から得たものは「見えそうで見えないのが良いよね」、「付き合えそうで付き合えないのがドキドキするよね」的なヴァイブスを、アキレスと亀の説話で表現可能である、という一点に尽きるかもしれない。

「いき」という(日本固有の)感覚の、外国語への翻訳不可能性(というか外国での存在不可能性か)についての書きぶりは、端的に言って好みのお話だし、結局のところ、この本も「いき」に関する完璧で、客観的な記述をやってやったぜ! というものではなく、逆に、その完璧で客観的な記述の不可能性に到達し、しかし、不断の記述をするところに「学の意義は存するのである」と唱えるロマンティシズムを感じるのだった。

0 件のコメント :

コメントを投稿

ヒロ・ヒライ 小澤実(編) 『知のミクロコスモス: 中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』

0 件のコメント
本書とわたしの関わりについては既に書いた通り。収録されている論文は編集時点ですでに目を通していたが、改めて読んでみても、やはり価値ある本だな、と思う。インターネット上で局地的に盛り上がり、一時、Amazonの売り上げランキングでも「歴史」部門の第1位に輝いた、というが、この盛り上がりが一過性のものでなく継続していって欲しいもの。
教科書的な本でもないし、初心者向けの本でもない。「中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー」という(雑に言うと)マニアックな分野の論文集でありながら、わたしが「この本を広く読まれたら良いのにな」と思うのは、自分が制作に関わっていたから、という贔屓目ばかりではなく、独立した論文が有機的に関係し、星座を作るかのような知的な世界を提示しているからである。なかでも加藤喜之さんの「スキャンダラスな神の概念」、坂本邦暢さんの「アリストテレスを救え」、ヒロ・ヒライさんの「霊魂はどこからくるのか?」という3つの論文が続く部分は、本書のハイライトだと思う。

順番に読めば「スキャンダラスな神の概念」に読者は出会うことになるが、ここで論じられるスピノザの哲学が、どのようにスキャンダラスだったのか、当時の知的な背景知識がなければ味わい損ねてしまう。しかし、もし読者がそれを味わい損ねたとしても、一度と次の「アリストテレスを救え」に進んでもらえば、スピノザが活動した当時にも支配的であったアリストテレス主義がどのようなものかがわかる。そこで「スキャンダラスの神の概念」に戻れば良いのだ。

坂本さんによるこのアリストテレス主義の整理は続く、ヒライさんの生命の発生と霊魂の関係性に関する議論にも接続される。3つの論文は、順番を変えたりしながら読むと、毎回新しい学びがあるはずだ。ほかにも戦国時代の日本にやってきたイエズス会宣教師たちが、西洋のコスモロジーや霊魂論を日本に輸入した事実を明らかにする「キリシタンの世紀」のセクションにも、アリストテレスの議論は関係する。こうして、さまざまな領域に飛び火するインテレクチュアル・ヒストリーは(観念論や認識論に偏っていく前の)哲学の領域の広さをまじまじと見せてつけてくれる。

出版から4カ月あまりが経って、今週の土曜日には記念イベントも開催予定だそう。まだ本書に触れていない方でも参加して、新しい知の扉が開いてみてはいかがだろうか!

0 件のコメント :

コメントを投稿

Negicco / サンシャイン日本海

0 件のコメント
サンシャイン日本海  通常盤
Negicco
T-Palette Records (2014-07-22)
売り上げランキング: 9,441
昨年大変話題になったドラマにご当地アイドルをテーマにしたものがあったが(一切観ていない)Negiccoは新潟のご当地アイドルだそうである。なんでも地元のJAが名産のネギをPRするために結成した、とかで、我が郷土であるところの福島における「ミス・ピーチ」的なイキフンも感じられ、そのネーミング・センス的にもJA感が溢れているところが、敬して遠ざけたくなるポイントでもあるのだが、最近の地下アイドル・ブームに乗ってポッとでてきたわけでも「おらが村でも『あまちゃん』やるべ!」的なノリで出てきた方々ではなく、なんと結成から11年目という年季がはいったグループなのだそう。

日本のアイドル・ソングが、大変批評に耐えうる音楽ジャンルのひとつになっていることは重々承知であるのだが、どうも、アイドル・ソングをただ消費するだけじゃない、うむうむ、俺はわかってるぞ、的な語りが苦手であり、そうした文化に参与することすらもためらわれ、これまでレンタル落ちのきゃりーぱみゅぱみゅを回収したり、回顧的につんく♂の素晴らしいお仕事を振り返ったりする程度にとどめていたのだが、ここにきて、なぜ、Negiccoかと言えば、この「サンシャイン日本海」というシングル曲がオリジナル・ラブこと、田島貴男プロデュースだったから。

田島氏とNegiccoメンバーによる熱い対談はこちらで読める。田島氏の楽曲は上記のインタビューでも語られている通り、歌謡曲、ノヴェルティ・ソングのモダナイズ、とも解釈でき、大変面白く聴いた。が、本当に度肝を抜かれてしまったのは、カップリングの「フェスティバルで会いましょう」、そして過去楽曲のリミックスのほうなのだった。なんだこれは……すげえ、良いじゃないですか、と。乱暴に言えば、シティ・ポップスのモダナイズであり、つんく♂以降のアイドル・ソングのソフィスティケイトされた世界が提示されまくっており、とても地元PRアイドルという出自が信じられず、気がつくとわたしは、過去のリリース作品もひとしきり購入して熱く聴いていたのだ。

Melody Palette
Melody Palette
posted with amazlet at 14.07.23
Negicco
T-Palette Records (2013-07-17)
売り上げランキング: 7,745

ときめきのヘッドライナー(通常盤)
Negicco
T-Palette Records (2013-11-06)
売り上げランキング: 181,559

トリプル!WONDERLAND 通常盤
トリプル!WONDERLAND 通常盤
posted with amazlet at 14.07.23
Negicco
T-Palette Records (2014-04-16)
売り上げランキング: 173,718
小西康陽、西寺郷太(ノーナ・リーヴス)、矢野博康(元Cymbals)、サイプレス上野とロベルト吉野、tofubeatsなど過去の制作陣も、あるリスナー層を本気で殺しにかかっているとしか思えないラインナップなのだが、ずっとこのグループを支えているプロデューサー、connie氏の楽曲が、ゲスト製作陣以上に突き刺さる。とくに「ときめきのヘッドライナー」のカップリング「さよならMusic」が激烈に良い曲で、冒頭20秒ぐらいで涙が出る(ベースは、KIRINJIの千ヶ崎学で、KIRINJI弟脱退ツアーのDVDコメンタリーで散々イジられていた『モテるベース』が堪能できる)。

(小西康陽提供による楽曲『アイドルばかり聴かないで』。アルバム『Melody Palette』のなかで聴くと、あまりにいつもの小西仕事という感じがして浮いてしまうのだが、この歌詞の強度は素晴らしすぎる)

泣きながらご当地アイドルの楽曲を聴いているアラサー男性の姿は傍目にみて、法的に規制されても文句は言えない気持ちが悪さがあるけれど、素晴らしい楽曲がシングルで、小刻みに飛び出してくる感じは、大人が、こどもの頃に買えなかったおもちゃを今好きなだけ買えてしまう、という消費の愉しみを実感させてくれる。魂のつながりを感じさせる仙台の友人が時折苦々しく「AKBは曲は超良いのに、アレンジ/編曲が最低すぎる」と語っているような問題も、ここでは皆無であり安心だ。

0 件のコメント :

コメントを投稿

伊丹十三 『日本世間噺体系』

0 件のコメント
日本世間噺大系 (新潮文庫)
伊丹 十三
新潮社
売り上げランキング: 88,528
伊丹十三のエッセイを読むのはこれが3冊目。今年にはいって、わが家では静かな伊丹十三ブームが続いているのだが、今回、筆者のプロフィールを読みながら、昨年は生誕80周年だったのだなあ、と思い、そして、生年の昭和8年という数字を確認して、そうか、この人は自分の死んだ祖父とほとんど同じ世代の人なんだな、と改めてたまげてしまった。書くモノの洒脱さと、亡くなったときのニュースを覚えているせいで、なんだかずっと若いままの人(自分の父親ぐらいの年代の)という風に錯覚してしまっていた。

この『日本世間噺体系』には『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』に比べると、ずっと毒が強い文章が収録されていると思った。エッセイよりも、風刺だったり、寓話のようなものが多く、後半はずっと現実に取材したものかどうかもわからない、インタビュー記事のようなものが続いている。カッコ良い伊丹十三の文章を読み続けていたかったのに、肩すかしを食らった気分だった。が、「プレーン・オムレツ」という筆者と洋食屋の主人の対話篇的一篇は、特別に気に入った。

タイトル通り、洋食屋の主人がプレーン・オムレツの作り方などについて滔々と語っていて、筆者はそれに適当な相づちを打ったりするだけの文章なのだけれども、主人がプレーン・オムレツを作る様子を追った文章が、とんでもなく素晴らしい。間違いなく、歴史上最もリアリスティックにプレーン・オムレツができるまでを描いた文章であろう。情景が目に浮かぶようだ……という常套句を思わず使いたくなるし、もし、新聞記者やスポーツ・ライターを目指している人が「写実的描写」について悩んでいたなら、このような文章をお手本とすべきと思う。フライパンのなかで躍る卵の運動に愕然とした。

0 件のコメント :

コメントを投稿

Jean-Luc Godard / Week End(ウイークエンド)

0 件のコメント
今年の夏のボーナスでは、コンポとスピーカーを新調しただけでなく、DVDプレーヤーをBlu-Rayプレーヤーに新調する、という散在もおこなっていたのだが、我が家にはまだBlu-Rayのソフトがなかったので、なにか適当なソフトがないかAmazonで探していたら、ジャン=リュック・ゴダールが「商業映画辞めます」宣言をしたときの作品をまとめたボックス・セットが7割引きだったため驚愕しながら購入した。

ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 Blu-ray BOX (初回限定生産)
IVC,Ltd.(VC)(D) (2012-05-31)
売り上げランキング: 23,001
早速1枚目の『ウイークエンド』(1967)を観た。「商業映画辞めて、政治的な映画を撮ろうぜ」的な時期にあたると聞いていて、どんだけ退屈な映画になるのだろうか、と内心ビクビクしながら観はじめたが、大変面白い映画で安心した。ブルジョワ夫婦の退廃的メロドラマ、みたいな入りをしながら、奇天烈なロード・ムービー(メタフィクション)になっていくところがバカみたいで大変よろしい。延々と続く渋滞のシーンからはフリオ・コルタサルの短編をイメージさせ、そして死体や事故車両や炎上車両がアホほど頻出する悪夢っぽい映像はルイス・ブニュエルの映画を思い出させた(途中で、神を自称する男が奇跡を起こしたりして、ホドロフスキーかよ、とも思ったが、作品としてはこっちのほうが早い)。

こういうふざけた感じの映画も撮っているんだな、ゴダールは、と思ったけれど、真面目な人が頑張ってふざけている感じがして、完全にダダスベりになっているのだが、そこが面白いように思う。そのスベり芸っぷりは、完全に今となってはギャグになってしまったヒッピー集団や政治的アジテートを、今現在どういう風に受け止めたら良いのかよくわからない、という点で加速している。アルジェリア系移民とアフリカ系移民の男が巨大なサンドウィッチ(もちろんパンはイギリスパンではなく、パリジャンである)をモグモグしながら、その背景で長々と政治声明が語られるのは、果たして、公開当時もこれはシリアスなメッセージに成りえたのかどうか……。

Pioneer BD/DVDプレーヤー BDP-3130-K
パイオニア (2014-05-23)
売り上げランキング: 28
なお、こないだ購入したBDプレーヤーはこちら。1万円を切っていて「え……いま、プレーヤー単体だと、そんなに安いの……?」と驚いた。リモコンが小さくて、ちょっと安っぽいが、機能的には問題なく満足。試してないけど、PAL方式のDVDも再生できるらしい。

0 件のコメント :

コメントを投稿

3年以上かけて旧約聖書を読んだ

0 件のコメント
聖書―新改訳
聖書―新改訳
posted with amazlet at 14.07.16
日本聖書刊行会
いのちのことば社
売り上げランキング: 77,160
おそらく史上最大のベストセラーであり、今後、世界を席巻する新宗教でも生まれない限り、その記録を塗り替えられないであろう書物『聖書』のうち「旧約聖書」と呼ばれている部分をこのたび読み終える。ずいぶん長いことかかった。厚めの辞書ぐらいのサイズと重さなので持ち歩くわけにもいかず(小型版もあるけれども)、寝る前やなにかこれといって読みたい本がない時ぐらいしか読み進められなかった。Amazonの注文履歴をみたら、2011年1月22日に注文、とある。そういえば、その年に大きな地震があった日の晩、自宅で妻を待ちながら聖書を読んでいた記憶がある。とくに信心深い気持ちになっていたわけではなく(そもそも信仰があって読みはじめたわけではかった)、当時はテレビを見ても不安に駆られるばかりだったから、ほとんど意味がわからない旧訳聖書のテキストを読んでいると、不思議と安心したからだった。

しかし、その「ほとんどなにが書いてあるかわからない」というところも、このテキストに向き合う気を失わせる理由のひとつである。あまりに気が向かないので「聖書がらみの本」のほうにやる気をだして読んでしまっていた。
いろいろ読んでいても旧約聖書の大部分は何が書いてあるかわからない。「モーセ五書」と呼ばれる創世記や出エジプト記が含まれている部分は、ある民族の歴史なんだな、ということぐらいはわかり物語的にも読める。他にも物語的な部分はあり、そういうのは割とスムーズに読めるのだが、問題は「それ以外の部分」が多すぎるのだ。また、わたしは大きな勘違いをしていて「聖書」のなかで「旧約」と「新約」は同じぐらいの分量のものだと思っていた。


実際はこれぐらい分量が違う(右側が旧約部分。聖書の大半は旧約聖書だというのは世間の常識なんだろうか……?)。永遠にこのなにが書いてあるかわからない文章が続くのでは……と思うと、何度も投げ出したくなった。聖書 = 牧師さんや神父さんの説教のときに参照するテキストと思い込んでいると、さぞかしありがたいことが書かれまくっている自己啓発本みたいなものかと思うじゃないですか。全然そんなんじゃないんだよ。「主(=ヤハウェ)」が、目にかけてやっている民草を裁きまくることばかり書いてある。このは大変嫉妬深い存在で、目にかけてやっている民草が他の神を崇めたりすると怒り狂い、一族根絶やしにしたり、イナゴの大群をよこしたりと大変に行動が激しい。あまつさえ、サタンにそそのかされて大変信心深い男の信心深さを試すために、その男に山ほど災いを与えもする。民草は争いばかりしているし……。

なぜ、こんなテキストが読み継がれてきたのか不思議だが、なにが書いてあるかわからないからこそ、読み継がれてきたのかもしれない、とも思う。バッハの作品に隠された謎が人を惹き付けるように(たとえば、新約聖書に書かれた内容はすでに旧約聖書で予言されていた! みたいな『ムー』かよ、みたいな読みが歴史上マジにおこなわれていたわけで……)。

なお、いくつかある聖書の翻訳のうち「新改訳」を選んだのは、当時住んでいたところの近所にあった教会の牧師さんが「これが聖書の原典に一番近い訳だから」とオススメしてくれたから。「外典」と呼ばれている部分は収録されていない。どうせ信仰と無関係に読んでいるのだから「外典」を含んでいるものを買った方がお得だったかもしれない、と今になって思う。

旧約聖書 新改訳
旧約聖書 新改訳
posted with amazlet at 14.07.22
いのちのことば社 (2014-05-21)
売り上げランキング: 972

新約聖書 新改訳
新約聖書 新改訳
posted with amazlet at 14.07.16
いのちのことば社 (2013-11-26)
売り上げランキング: 1,426
聖書重すぎて持ち運べない問題は、すでにKindleによって解決されていた……(めっちゃ安いし、プライム会員なら無料で読める……)。

0 件のコメント :

コメントを投稿

夏は水出しのお茶を冷蔵庫に常備しておくとQOLが爆上がりする

0 件のコメント
普段家で(アルコールか水以外に)飲むのはもっぱらインスタント・コーヒーで、コーヒー豆を買ってきて家で挽いたり、紅茶を適度なお湯でジャンピングさせて淹れたり、といったこだわりはほとんどない。かつてはコーヒー豆からちゃんとコーヒーを淹れたり、エスプレッソ・マシーンを使ってみたり、いろいろやっていたけれど、結局、面倒になって止めてしまった。こだわりのないインスタント・コーヒー飲みとって、夏は鬼門の季節となる。インスタント・コーヒーをお湯に充分溶かすためには、お湯を使うことが求められるが、真夏に熱いものを(汗をかきながら)飲むとほんのり苦行感を味わうことになるからだ。しかし、ペットボトルのアイス・コーヒーを冷蔵庫に常備しておくのも不経済に思われ、この季節だけは水出しのお茶を作って冷蔵庫に常備してそれを飲むことになる。

水出しのお茶の代表格といえば麦茶。ポットにティーバッグをいれて放っておけばお茶になる魔法のような手軽さが魅力だが、麦茶ばかりだと飽きるので、緑茶や紅茶なども水出しで準備しておくと生活の質が爆上がりする。とはいえ、当代きっての不精であるわたしは、水出しの緑茶や紅茶のために「お茶入れパック」のようなグッズを準備するのもやりたくない。よって、どうするかと言えば、水出しコーヒー用のポットに、お茶っ葉を適当にいれてお茶を作るのだった。

ハリオ 水出し珈琲ポット8杯用 1,000ml MCPN-14B
ハリオ
売り上げランキング: 4,734
だんだん色がついてくるけれども、ストレーナー(フィルター)は何度も使えるし、交換もできるので良いアイテム。洗うのも楽で良い。あと水出しアイスコーヒーを作るよりも(もちろん茶葉の種類にもよるが)お茶のほうが安い。

こちらは水出しマテ茶(マテ茶にはロースト・タイプとグリーン・タイプがあるが我が家ではグリーン・タイプを好む)。マテ茶は一晩置かなくとも10分ぐらいで抽出が終わるのですぐ飲める。茶葉は、1リットルなら大さじ1杯半〜2杯ぐらいぐらいあれば良い。よく冷やして、少しライムを絞って飲むと大変風流である。

0 件のコメント :

コメントを投稿

Homecomings / I Want You Back EP

0 件のコメント
I Want You Back EP
I Want You Back EP
posted with amazlet at 14.07.13
Homecomings
SPACE SHOWER MUSIC (2014-03-19)
売り上げランキング: 20,332
この土日は、金曜日の夜に、たまたまTwitterのタイムラインで知った京都のバンド、Homecomingsしか聴いていない。ネオアコ系、青春系ギタポなどという乱暴な括りで語ってしまえば、それだけなのだけれども、The Smiths、Orange Juice、Belle & Sebastian、The La's ……などなどの様々な人の、様々な若かりし頃を彩ったであろうバンドの音を彷彿とさせ、まるで自分の学生時代も、このバンドが奏で、歌っている甘酸っぱい風景に彩られていたかのように錯覚させてくれるような素敵な音楽である。たとえば、バンド・サークルに所属して、2年目の夏に結成した男3人女1人のバンドで、橋本愛演じる女の子メンバー(担当楽器はベース)を取り合う、みたいなそういう記憶を捏造し、単位や試験や就職活動がなければ、そういう感じの若い頃に戻ってみたい……と思った。

Homecoming with me?
Homecoming with me?
posted with amazlet at 14.07.13
Homecomings
SPACE SHOWER MUSIC (2013-06-12)
売り上げランキング: 26,346
昨年出たデビュー・アルバムもあわせて聴いている。

インディー・ロック好きの友人複数名に「Homecomings、すげえ良いです。好きすぎてちょっと泣きました」と伝えたところ、彼らはすでに聴いており「なんだよ! もっと俺に『黙ってこれを買え!』とかアピールしてくれよ」と思う。ネット上で公開されているいくつかのインタヴューを読んだら、このバンドで天下獲ってやるぜ、的なギラギラ感がなく、それゆえにこういう音が生まれてきたのかもしれないし、ただ、このバンドはこの一瞬の煌めきで終わってしまうのかもしれない、という予感も感じさせてもくれる。




0 件のコメント :

コメントを投稿

英語をマスターしたわけでもない会社員がラテン語とフランス語の勉強で気づいたこと

0 件のコメント
こないだヒドく憂鬱な気持ちのままフラフラと本屋に足を踏み入れたら、語学教材コーナーの前で、ふいに「そうだ、フランス語でもやるか」という気がおきて、文法書を一冊買おうと思った。わたしはもうすぐ30歳になる。とりわけ暇な身の上でもないし、なんでもかんでも手を出したとしても、すぐに身に付けられるわけでもないだろう。そういうわけで、語学は英語だけに絞ろうか、それなら身に付くだろう、と思って、数年前にはじめたラテン語の勉強をサボる言い訳を作っていたのだが、どうせ、英語だけに力を注いていたとしてもグローバル人材になるわけでもなく、逆にあれこれ手を出して、余生を無為に過ごすのも良いのではないか、と考え、さらにラテン語の基礎単語をまとめた教材もあわせて購入した。こうして、わたしは、一瞬の出来心のようなもので、ラテン語とフランス語を同時に勉強しはじめてしまったのだった。

買った教材はどちらも長いこと使われていそうなもの、特に評判は調べずに選んだ。
基本フランス語文法
基本フランス語文法
posted with amazlet at 14.07.10
土居 寛之 田島 宏
昇竜堂出版
売り上げランキング: 130,429
(わたしの買ったものの奥付には『2005年2月 98版』とある。まだこの教科書のなかではソヴィエト連邦が生きている)
ラテン語基礎1500語
ラテン語基礎1500語
posted with amazlet at 14.07.10

大学書林
売り上げランキング: 383,797
(こちらは『平成20年5月30日 第21版』。初版は昭和32年だ)

フランス語やラテン語の学習によって会社員が得られるメリットは一般化できないが、わたしの場合、読んでいる本にフランス語やラテン語の引用がなされることもなくはないので読めるとそれなりに役に立つ。目標はあくまで「読める」レベル。

新しい言葉を学びはじめると、最初の覚えやすくて簡単なところをやっているときが一番楽しい。よって、フランス語はいまが一番楽しい気がする。と同時に複数の外国語を平行して勉強するのは学習効果が高いのでは、と思った。もちろん、フランス語の先祖にはラテン語があって、英語の先祖には古フランス語やラテン語(そしてゲルマン語)があるわけだから、それぞれに親和性が高いのは、当たり前だとしても。

以下に、いくつかフランス語とラテン語を同時並行して勉強して感じたメリットを書いておく。

「フランス語は難しい」という印象が薄れる

習得が難しい言語として思われているフランス語だが、先にラテン語の文法を一通り学んでいたことによって「全然覚えることが少ないじゃん、フランス語、いけるんじゃないか」と思った。フランス語の名詞には中性名詞がないし、格変化もない。前置詞による冠詞の変化などはラテン語にはないけれども、そもそもラテン語には冠詞がないので、冠詞があるフランス語のほうがわかりやすい。明らかにフランス語のほうが難易度が高いのは、発音規則ぐらいか。しかし、規則が決まっている分、英語みたいにイレギュラーな読み方がたくさんある言語よりも読みやすいと思った。

英語の復習も兼ねる

フランス語の文法を勉強しはじめると、最初の方に「冠詞」がでてくる。冠詞は日本人が英語を書いたり、話そうとしたりするときにつまづくポイントのひとつだろう。わたし自身長いことよくわからないままでいたんだけれど、フランス語の冠詞を経由して、英語の冠詞も確認する気になった。フランス語と英語とでは使い方は微妙に違っているから、そのまま英語の復習になるわけではない。けれども、英語だけ勉強しているとわざわざ文法を勉強しなおす気がおきないし、英語をただ読んでいるだけならそのあたりはアバウトでも全然困らない。よって、ずっとわからないままでいてしまう。フランス語を勉強することで英語を振り返る機会が持てるのは良いことと思う。

単語を漢字みたいにメージできるようになる

これは単純にラテン語学習による効用。英単語も仏単語も、ラテン語がもとになっているものが多い(上記の『ラテン語基礎1500』では、羅単語に対応する英単語だけでなく仏単語も紹介されている)。また、ラテン語の前置詞の意味・ニュアンスを覚えておけば、ラテン語源の接頭辞の意味がわかるようになる。すると「接頭辞」+「動詞」のような形で合成されてできた言葉の意味を想像できるようになる。たとえば「pro」や「ad」が接頭辞になっていたら、対象に向かっていくイメージが持てるし、「ab」だったら逆に離れていくイメージが持てる。こういうのは「辞書をなるべく引かないで洋書を読むテクニック」としても大事。日本語だったら「魚へん」の読めない漢字がでてきたら「読めないけど、なんか魚なんだな」と思って流して読むのと一緒。つまり、接頭辞を漢字の部首のように読めるようになる。

ラテン語の教材

なお、ラテン語の文法教材については、わたしは以下を使っていた。
はじめてのラテン語 (講談社現代新書)
大西 英文
講談社
売り上げランキング: 11,258
ラテン語学習の効用に関しては、この教材にも書かれている。
Wheelock's Latin 7th Edition (The Wheelock's Latin Series)
Richard A. LaFleur
Collins Reference
売り上げランキング: 1,061
『はじめてのラテン語』よりももっと突っ込んだ形で文法を学びたかったことと、練習問題がついている教材が欲しかったので『Wheelock's Latin』も一通りやった。こちらは英語のラテン語学習書のスタンダード(これで勉強すると英語の文法用語にも身に付くし、ネット上だと日本語よりも英語のほうがラテン語の勉強情報が多いので、英語でラテン語を勉強するのはかなり利に適っていると思う)。練習問題には答えがついていないが、ネット上で有志が公開していたりする。最新の第7版がでてすぐ買ったので、わたしは日本で第7版を持ってる数少ない会社員なのではないか。

なお、わたしが学生時代勉強した第2外国語はドイツ語。かつて、ポルトガル語の入門書も読んだことがあるので、英語の他、仏羅独葡がほんの少しだけ読める、というまことに使いどころがないスキルを身につけつつある。

0 件のコメント :

コメントを投稿

井筒俊彦全集(第1巻)『アラビア哲学 1935年-1948年』

0 件のコメント
アラビア哲学 一九三五年 ― 一九四八年 (井筒俊彦全集 第一巻)
井筒 俊彦 木下 雄介
慶應義塾大学出版会
売り上げランキング: 290,203
今年(2014年)は井筒俊彦の生誕100年にあたり、没後20年だった昨年から全集の刊行がはじまったり、特集のムックが出たりしている。いよいよ、井筒再評価か……(なにしろ、自分の勤め先の上司が件のムックを買ったぐらいである)というタイミングでわたしもようやく積んで置いた全集の1巻目に手をつけた次第(『井筒全集、買わねば〜』と3巻まで一挙に注文していたんだが、箱から出してすらいなかった)。井筒の最晩年に中央公論社から全11巻の著作集がでているが、今回の全集は英文著作と翻訳をのぞくすべての著作を年代順に収録したコンプリート・エディションとも言えよう。そんなことも読みはじめてから知ったのだが……。

第1巻は1935年〜1948年の著作を収録(他の巻と重複する著作もある関係で、一部のみ収録しているものもある)。戦前の20歳のときのデビュー作が詩だったことにも驚いたが、戦時中の井筒の研究が社会的に求められていたことを示す記述も「歴史」を感じさせるものだ。1943年に書かれたアラビア語に関する文章にはこうある。「既に我が国と密接なる関係に入ったインドネシアには6000万の回教徒が、マライ半島には200万、タイには49万、仏印には30万、満州には50万、支那には1500万の教徒が居ることを考えなければならぬ。此れ等の人々と深く接触し、或は之を正しく指導するためには、回教なるものを根底から理解しなければならないのである」。現代に井筒のような天才が生きていたら、天才過ぎて「実用的な人材」とは見なされないかもしれない。しかし、こういう天才が国益に関与する者として生きていた時代があったことを物語る貴重な記述のように思った。

とはいえ、イスラーム教徒たちとコンタクトし、指導するための手がかりのように綴られたハズの著作が、果たして役に立っていたのかどうかは不明である。難解な文章を書いていたわけではないけれども(井筒の文章はいつもわかりやすい)、スーフィズムが云々、アッバース朝の翻訳文化が云々、といった思想史的記述を辿っても、あんまり実用的ではなかったんじゃないか。初心者にいきなり精髄を飲み込ませようとして、大失敗、みたいなところはあったのでは、と勘ぐってしまう。ただ、井筒のイスラーム概論は今読んでも「えっ、そうなの(あ、でもそうか)」みたいな記述に溢れていて大変勉強になった。

たとえば1942年の「東印度に於ける回教法制(概説)」で井筒は「イスラームの人ってクルアーンに書いてあることを絶対守るんでしょ?」という今も一般的に流布していそうなステレオタイプを「いや、違うんだ。イスラーム教においてクルアーンが絶対だったのは、初期のほんの一時期だけで、クルアーンは矛盾もたくさんあるし、漠然とし過ぎてるんで、法学者たちによる法律のほうが支配的なんだ」というようなことを書いている。もちろんクルアーンが聖なる書物であることは否定されていないけれど、普通に読んでいて「そうなんだ……」と思う。

「解題」に掲載された1948年の井筒のプロフィールには、1938年に慶應の助手になって1942年に研究員兼外国語講師になった、とある。ギリシア語、ヘブライ語、アラビア語其他を担当していたらしいが(其他ってなんだ!)、イスラーム研究と平行してロシア文学も教えていた、とか最初期から天才っぷりが炸裂。デビュー当初から井筒は井筒だったんだな、と思った。それは哲学史観にも言えて、この人の哲学って結局のところは「啓示」と「理性」による弁証法的歴史観だったのでは、と思った。そのへんは『存在の大いなる連鎖』におけるラヴジョイの哲学史にも通じている。

0 件のコメント :

コメントを投稿

学生時代に一冊も読めなかった洋書を会社員の俺がストレスなく読めるようになるまでの話

5 件のコメント
当ブログの過去ログを参照したところによれば、割とマジメに英語の勉強をはじめてから丸3年ぐらい経っていたし、インターネットの皆さんは英語の勉強法が好きらしいのでブログ記事にこれまで勉強してきたことをまとめておく。まずは、英語の勉強をはじめたときのわたしが立てた目標だけれど、

  1. 英語の原書(主に邦訳が高価、あるいは邦訳がない研究書)が読めるようになること
  2. できれば、英会話もできるようになりたい

……とこんな感じであった。なお、勉強の方針として「教材は『これ!』と決めたヤツをやりつくすまでやる」というポリシーを立てている。目標のうち、1つ目はほぼ達成できている、と言って良い(2つ目の目標は英語で人とコミュニケーションをとる機会が年に3回ぐらいしかないため、なかなか上達しない)。よって、以下の記述は「英語の研究書を読めるようになりたいが、なにから手をつけて良いかわからない(また、勉強にお金をかけられない)」という大学生などの参考になるかもしれない。

単語の勉強

英文を読もうとして「単語がわからないのでイチイチ辞書をひかなくてはならず、そのストレスで挫折する」というケースは多い(受験英語も怪しいのに、いきなり難しい原書に挑戦して死亡する、など)。よって、ある程度、基礎として単語は固めておいたほうが良い。教材はなんでも良いと思う。自分は学生時代にいきなり意識が高くなって「TOEICの勉強をするぞ!」と意気込んで買って、結局一切使わなかった『DUO 3.0』を使った。
DUO 3.0
DUO 3.0
posted with amazlet at 14.07.07
鈴木 陽一
アイシーピー
売り上げランキング: 50
めちゃくちゃロングセラーな教材だけあって使い勝手は悪くない。掲載されている例文は560個あるが毎日20個ぐらい読んでいくとおよそ4週間で一周できる。これを単語カードなどを作りながら4周ぐらいやった。よくこの教材を使うときは「CDを使え!」という話を読むけれど、別に必須ではないと思う。自分の場合、CDを使うよりも目で読んで頭のなかで音を流すほうが効率が良かったので(一応、CDも買っていた)、ほとんど使わなかった。

発音のトレーニング

英語を読む力をつけるのに、発音もヒアリングも鍛える必要はない。しかし、「今更だけど『DUO』使って英語の勉強はじめたんですよ」という話をしていたら「幾ら例文集を聞いたり、自分で音読しても、発音が矯正されないかぎり、せっかくの音読も間違ったものになってしまうし、そして自分で発音できない音は、おそらく聞き分けることもできず、さらに言えば、正確に発することも聴き分けることもできない単語を幾ら覚えても実際使うことはできない」というアドヴァイスをいただいたので、以下の教材を使って、発音のトレーニングをおこなった。
英語耳[改訂・新CD版] 発音ができるとリスニングができる
松澤喜好
アスキー・メディアワークス
売り上げランキング: 3,457
この教材は激烈にオススメ。英語の発音を子音と母音に分解して、かなりメカニカルなトレーニングが可能となり、また英語の発音記号も読めるようになる(英語の勉強をしていて、これは受験生時代に使っておくべきだった、と思った教材は唯一これだけ)。一通り読んだら、付属しているCDを聴きながら声に出して練習。1周が25分ほどあるので、かならず1日1セットおこなった。教材にはヒアリングのトレーニング方法(好きな英語の曲を決めて歌詞カードを見ながら300回聴け、とか書いてある。The Smithsを300回聴いた)もマジメにこなした。

実際に原書を読みはじめる

単語の暗記なんか面白い勉強ではないので、そういうのは短期集中でこなして、早いうちに英文を多読するモードに入っていったほうが良い。単語の暗記本だけやっても、例えば分野によって頻出する単語は違うし、そもそもテクニカル・タームなんか絶対英単語教材には載っていないので、実際に読みたい分野の本を読みながら覚えていくしかない。ただし、前述の通り、いきなり難しい本に挑戦すると死んでやる気を失くすので、簡単なもの、そしてある程度興味が持てるものから入っていく。自分は『くまのプーさん』を読んだ。
Winnie-the-Pooh (Puffin Modern Classics)
A.A. Milne
Puffin
売り上げランキング: 158

The House at Pooh Corner (Winnie-the-Pooh)
A. A. Milne
Puffin
売り上げランキング: 4,366
児童書だろ、と思ってナメていても、最初はスラスラ読めなかった。まず、受験のときのように「後ろから訳していく」みたいなことをやっているといつまで経っても、読むスピードはあがらないから、それは禁じる。自分が理解できるスピードで前から読んでいくのに慣れていくことが重要と思われる。受験での長文問題みたいに制限時間はないので、じっくりやっても良い。これを繰り返していると、頭のなかで「英語 → 日本語 」の変換してから意味がやってくる読み方から「英語 → 意味」という読み方ができるようになる。
The Adventures of Tom Sawyer (Penguin Classics)
Mark Twain
Penguin Classics
売り上げランキング: 20,936
『プーさん』のあとは「そうだ、せっかくだから米文学の古典も読んでみたい」と思って『トム・ソーヤーの冒険』を読んだ。これはちょっとした失敗事例として取り上げておく。南部訛りの音を会話文に落とし込んだりしている箇所がまず読めない。そもそも、多読の訓練教材に小説を選ぶのは微妙だと思った。自分の得意分野の英語論文だとか、淡々とした英文をたくさん読んだ方が良い気がする。とくに日本人が書いている英文は、難しくないのでたくさん読めて良い。

Kindle買え

ここから勉強法ではなく「英文を読むのに慣れてきたので、快適に読みたい」という人向けのお話。洋書を読むなら紙で読むより、Kindleで読む方が圧倒的に快適だ。知らない単語があったら、タッチするだけで意味がポップアップされる辞書機能が最高。読書スピードが向上するので、洋書はKindleでしか買いたくない。専門書もかなり電子化されているのでコンテンツにも困らない。
Kindle Paperwhite(ニューモデル)
Amazon (2013-10-22)
売り上げランキング: 5

2015.4.16 追記

初心者向けの英文読書練習用の教材としてNHKラジオ講座テキストの「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」はなかなか良さそう。簡単な英語でできた小話みたいなのが毎月何本か載っている。単語の意味は後ろのページにまとめて載っているので辞書を引く手間も省けてストレスが少ない。ストレスがあると勉強も続けるのが難しくなるので、こういうので数をこなして「読み通したぞ!」という自信をつけていくのが大事だと思う。Kindle版も出てるので便利。NHKの英語講座は(テレビもラジオも)内容も結構面白いし、ちゃんと受信料を払って活用すると良いと思う。

5 件のコメント :

コメントを投稿

Alice Goffman 『On The Run: Fugitive Life in an American City』

0 件のコメント
On the Run: Fugitive Life in an American City (Fieldwork Encounters and Discoveries)
Alice Goffman
Univ of Chicago Pr (T)
売り上げランキング: 55,676
ちょっと前から英語の勉強と情報収集用に海外の新聞社サイトをRSSで購読していて、本書の存在を知る。著者のアリス・ゴッフマンは「もしかして……」と思ったら、かのアーヴィング・ゴッフマンの娘だそう(1981年生まれの33歳。ウィスコンシン大学のサイトには近影があるが、父親に結構似てる)。タイトルを(Pink Floydの同タイトルの曲にならって)訳したら『走り回って: アメリカ都市における逃亡生活』とかになるだろうか。有名な社会学者の娘のデビュー作で、しかも父親の業績とのつながりを感じさせる都市のエスノグラフィーともなれば、話題にもなるのか発売時には複数のネット記事でとりあげられているのを読んだ。


こちらは最近NYTimes.comに出ていた書評。かなり好意的に紹介されているけれども、実際読んだらかなり面白い本だった。内容は、筆者がペンシルヴァニア大学の学部生時代にキャンパスの近くにあった黒人貧困層が多く住む地区、6番通り(6th Street)で家庭教師をしていたことからはじまる参与観察の記録。そこにはドラッグの密売や窃盗などを繰り返す黒人の若者を中心に、6番通りで生活する人々がどんな風に生活しているかが生き生きと描かれている。11年にも及ぶフィールドワークは、なかなかの体当たり取材とも言えて、6番通りに移り住み、インフォーマントとべったり生活を共にしたそう。喋り方は黒人の若者のクセがうつり、それまでの生活スタイル(健康に気を使って野菜をたくさん食べたり……とか、まあ中流層みたいな感じの)は希薄化、さらには警察に逮捕までされている。

警察の捜査網から逃れるための若者たちのテクニックや、逆に警察の捜査テクニックなどにページを多く割いているけれど、追われている若者たちの「周辺」もまた面白い。たとえば、男女の関係。6番通りの生活は、犯罪を起こす男たちに対して、それに困らせ続ける女たち、という風にハッキリと男女の役割が決まっていて、指名手配犯となった息子やボーイフレンドに振り回される女性の姿はなかなかに泣ける。

逃亡生活には危険が伴うわけだから、女性が彼氏の身を案じてるのは当然でしょう。そこで彼女たちは出頭するよう説得したり、応じなかったら警察に情報提供して「安全に」逮捕してもらうようにしたりする。彼氏が逮捕されるのは嫌だけれども、彼氏が死ぬのはもっと嫌と、そこには苦渋の選択がある。しかし、逮捕される彼氏にとって彼女の通報は裏切りであり、彼氏の仲間たちから「裏切り者」だとか「クソビッチ」みたいなヒドい扱いを受けてしまう……とかなかなかのヒドさだ。その不名誉をはらすために、彼氏の裁判費用を持ってあげるなど女性は健気にふるまうけれど、男の方はシャバにでてきた途端に別な彼女を作ってたりとどこまでも外道である。

もちろん、6番通りには犯罪歴のあるダーティーな若者たちしか住んでないわけではない。クリーンな若者たちもいる。彼らの生活はダーティーな若者とはまるで違っているのだが、じゃあ、どういう人なのか、と言って、一番最初に著者があげているのがゲームオタクだっていうのが笑える。彼らはドラッグも銃の不法所持も窃盗もやらない。夕方にピタッと仕事を終えると、友達の家に集まって、ビールを飲みながらゲームをやる、っていうのが幸せ、彼女がいなくても全く問題ない!(わかりやすいぞ!!)

ただ、クリーンな若者たちも生活に余裕があるわけではない。大学に通いたくても通えないし、突然仕事をクビになったりと安定した生活は保証されていないのだ。象徴的なのは、金がなくてプロムに女の子を誘えない少年たちの記述だ。そこにはリア充対非リアの対立が、そのまま超格差社会のボーダーになっている恐ろしさを感じた(あと日本にプロムがなくて良かった……と思った)。

著者の問題意識はこうした格差や隔離にも向いている。1990年代以降、合衆国では犯罪発生件数が減少傾向にあるけれど、犯罪に走りがちな階層・地域のなかでの階層の流動性が低まりまくっていることが指摘されている。それは本書のなかで示される集団内での犯罪知識や手法の継承や、父親が服役中で家が貧乏なので子供が窃盗でもしないと生活できない家庭(また一度逮捕されると教育が受けられず、マトモな仕事が得られず、犯罪に……)からもリアルに実感できるところ。当然、お金に余裕がある人たちは犯罪多発地域を避けて住むようになり、犯罪多発地域はどんどんゲットー化が進んでいく。人種隔離の政策はとっくに撤廃され、黒人の大統領が選ばれた現代において、合法的にゲットーが形成されていくところがまさに地獄である。

そろそろ、こういう現象は他所の国の話、という感じで片付けられないであろう。日本でもそのうち、同じようなフィールドワークができるように/必要になるんじゃないのかな。もしかしたらもうできるのかも。「マイルドヤンキー」とか言っていられるウチはまだ平和なのか?

0 件のコメント :

コメントを投稿

「ブラジル音楽 = ボサノヴァ」から一歩進みたい人のためのアルバム・リスト

0 件のコメント
FIFAワールドカップブラジル大会にあわせて、ブラジル音楽のカタログを持っているレコード会社が1000円(+消費税)で過去の大名盤を再発しまくっている。たまには人の役に立つブログ記事も書こうと思って、今回はユニバーサルの「ブラジル1000」企画から「『ブラジル音楽 = ボサノヴァ』から一歩進みたい人のためのアルバム・リスト」を作成してみよう。なお、ボサノヴァから一歩進むために、当然のごとく、ボサノヴァ(= 乱暴に『クルーナー唱法で歌われるアコースティックなサンバ』と定義します)はリストにいれません。

プレヴィザォン・ド・テンポ
マルコス・ヴァーリ
ユニバーサル ミュージック (2014-06-11)
売り上げランキング: 1,824
まずは、マルコス・ヴァリの『Previsão de Tempo』を。ボサノヴァ第2世代として世に出たミュージシャンの1973年の作品。本作は後にブラジリアン・フュージョン・バンドとしてヒットを飛ばすAzymuthがバック・バンドを努めており、ブラジル音楽とアメリカ音楽の見事なクロスオーヴァーを堪能できる。同年にヴァリがプロデュースしたジョアン・ドナートのアルバム『Quem é quem』とともに、エレピを大フィーチャーしたメロウなポップ・アルバムとして金字塔的な一枚。

アフリカ・ブラジル
アフリカ・ブラジル
posted with amazlet at 14.07.06
ジョルジ・ベン
ユニバーサル ミュージック (2014-06-11)
売り上げランキング: 4,148
ジョルジ・ベン(現在はジョルジ・ベンジョール名義。今月来日予定)も元々はボサノヴァ歌手としてデビューしたミュージシャン。セルジオ・メンデスのカヴァーが日本では有名な「Mas Que Nada」を作曲したのもこの人だ。その後はサンバとロック、ファンクを融合した「サンバ・ホッキ(samba rock)」というジャンルの立役者となる。1976年の『África Brasil』はそのサンバ・ホッキの大名盤。もうタイトルから雰囲気がにじみ出てしまっているが伝説の錬金術師を取り上げた「Hermes Trimegisto Escreveu」などマジカルな一枚だ。激熱。

リーヴロ
リーヴロ
posted with amazlet at 14.07.06
カエターノ・ヴェローゾ
ユニバーサル ミュージック (2014-06-11)
売り上げランキング: 8,470
ブラジルの音楽界で最も色っぽい男と言えば、この人、カエターノ・ヴェローゾ。60年代に起こったMPB(Música Popular Brasileira。要するにブラジルのポップスのこと)で最も重要なムーヴメント「トロピカリア」の中心人物のひとりであり、海外の流行音楽を積極的にブラジル音楽に吸収しよう、というこのムーヴメントがなければ、MPBも大きく様相を異にしていたであろう。つまり最強にセクシーだし、最強に重要人物。『Livro』は最高傑作にあげられることの多い1997年の作品(個人的にカエターノは最新作が常に最高傑作、だと思っているけれど)。全体的にしっとりとまとまっている印象だが、めちゃくちゃ雑多、という矛盾を孕んでいるところに「カエターノはずっとトロピカリア」と思う。

モンド・ミュージカル VOL.1
バーデン・パウエル
ユニバーサル ミュージック (2014-06-11)
売り上げランキング: 59,977
「ボサノヴァ界を代表するギタリスト」として紹介されることの多い、バーデン・パウエルだがそのスゴさは「ボサノヴァ」という狭い枠で括るにはもったいない。ブラジルから生まれた素晴らしいギター音楽のひとつとして聴かれるべきだろう。1964年の『Le Monde Musical de Baden Powell』はフランスで録音された作品。ポール・モーリア・オーケストラが伴奏をしており、ちょっと演出がロマンティック過ぎる箇所があるけれど、グッとこないわけがない。速いパッセージばかりに耳がいってしまいそうだけれど、右手の指先からサウダージが出ているんじゃないかと。

以上、とくに「こういうムーヴメントがあって……」など体系的に紹介するわけではなく「ボサノヴァ」を避けながら4枚選んでみた(結果的に、最後のバーデン・パウエル以外は『ドトールで流れていなさそうなブラジル音楽』になっている気がする)。ブラジル音楽はあまりに豊かすぎるため、とてもひとつのエントリーには収まらないのでこのあたりでやめておこう(今回とりあげたアルバム群も、ブラジル音楽のほんのごく一部だ)。さらに深く掘り下げるためには、ウィリー・ヲゥーパー氏による著作が最も良い手引きであり道しるべとなるだろう。とくに『リアル・ブラジル音楽』は音楽だけではない、ブラジルの文化や地方による違いなども分かる良書。この一冊の知識だけで、ワールドカップも見方が変わります。

リアル・ブラジル音楽
リアル・ブラジル音楽
posted with amazlet at 14.07.06
Willie Whopper
ヤマハミュージックメディア
売り上げランキング: 366,876
(感想エントリー)
ボサノヴァの真実: その知られざるエピソード
ウィリー ヲゥーパー
彩流社
売り上げランキング: 99,817
(感想エントリー)

0 件のコメント :

コメントを投稿

新しいスピーカーとプレイヤーを買ったんだ日記

0 件のコメント
当ブログを長らく読んでいただいている方々におかれましては、拙宅のオーディオ・システムのスピーカーが塩ビ管で自作したものであることはご存知かと思う(関連エントリー。このエントリーからその後、収音材を貼ったり、仮想グラウンドを取り付けたり色々手をいれている)。これは4年ぐらい使用していて、音も気に入っていたんだけれども、見た目のジャンク感が不評であった。また、お掃除ロボットルンバ導入後、によって度々破壊される、という悲しい状態に置かれていた。それで、今回、夏のボーナスで新しいスピーカーを買ったのである。
ONKYO INTEC205 スピーカーシステム (2台1組) 木目 D-212EX
オンキヨー (2009-02-14)
売り上げランキング: 3,359

ONKYO ネットワークCDレシーバー CR-N755 ブラック
オンキヨー
売り上げランキング: 6,475

「次買うなら、JBLとかのフロア型のヤツが良いなあ〜……」と夢見ていたんだけれど、現実的に置く場所ないよね、あと、そんなデカい音で聴かないよね……というわけで、結局購入したのは、ONKYOのD-212EXというブックシェルフ型の機種。あわせて、上京のときに買ってもらったミニコンポ(MDもCDも故障で聴けず、PCから出力した光デジタル信号を再生する機器と化していた)も買い替えた。
 
(設置した様子。スペースの都合で、プレイヤーが左のスピーカーの前に来ているのはいずれなんとかしたい)結果、すごく気に入って聴いている。自作の塩ビスピーカーが放つ、コンサートホールで生楽器が鳴っているような低音も良かったけれど、こういう形でスタジオ・モニターみたいな聴き方ができるのは、改めてブックシェルフ型の良いところだなあ、とは思う。とにかく解像度と分離が気持ち良いんだけれども、中低音もしっかり鳴る。山下達郎の「SPARKLE」とか聴くと感激するぐらいにハマるので最高。

購入したプレイヤーはオプションのWiFi受信機をつけると無線でネットワーク再生やネットラジオが聴ける(デフォルトだと有線LAN接続となる)。そのへんのPC・ネット環境の拡張性の高さも良いなあ、と思ったし、DSDとかFLACとか所謂ハイレゾ音源も再生できるのも魅力だ。ただし、オプションの受信機も買ってなければ、ハイレゾ音源も試していない。iPhoneに保存してる音源をUSBでつないで聴けるのはとても便利(なお、同じ音源を、Macから光デジタルでつないで再生するのと、iPhoneからUSB再生とで比べたら後者のほうが音が良かった……)。

総計して6万円強の出費。どちらの製品も発売から時間が経っているため、割引率がスゴい。自分はオーディオ・マニアでもなんでもなく「ちょっと良い音でリーズナブルに音楽を聴きたい」というタイプの人間であるため、この買い物は大変有意義に思った。

0 件のコメント :

コメントを投稿