植島啓司『官能教育: 私たちは愛とセックスをいかに教えられてきたか』

0 件のコメント
文化人類学者による愛とセックスをめぐるエッセイ。文化人類学的に性愛が語られる部分はごく一部で、近代のロマンティック・ラヴ・イデオロギー的な社会制度から見れば奇異に見える風習の紹介が最初のほうにあるだけ。あとは『ボヴァリー夫人』などの文学作品を引用しながら、思いつきじみた考察が続いていく。「◯◯の文化史」みたいな内容を想像していたらちっともそういう本ではなかった。途中で挿入される40代女性と著者(70歳近い)のインタヴューはとても現実感がなく、そのリアリティのなさは、著者が現代の40代女性のリアルなナラティヴを知っていたとしても、エクリチュール化しえない老化現象によるものなのか。「自分は男性だけれども、女性の気持ちがわかる進歩的な男性ですよ」的なポーズをとりながら「慣習だとかに縛られないで、自由に恋愛だとかセックスだとかすれば良いんじゃない!」的な発言を繰り返しているだし、大きな結論もない。ほとんど読む価値はないと思われる。ただ『ボヴァリー夫人』のあらすじを初めて読んで、ああ、面白そうじゃんか、とか思ったし、引用されている文学作品を面白そうに紹介しているのは良かった。

0 件のコメント :

コメントを投稿