荻野美穂 『女のからだ: フェミニズム以後』

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女のからだ――フェミニズム以後 (岩波新書)
荻野 美穂
岩波書店
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訳あってフェミニズムについて勉強しておく必要性、みたいなものを感じていたところに、タイミングよく書店の新書コーナーで本書を見つけた。著者はフェミニズム・ジェンダーの運動史を研究している歴史家で、本書は新書サイズながらも、フェミニズム史を手際よくまとめながら、性・生殖にまつわる女性の運動(避妊や中絶、そして体外受精などの『生むための技術』)の歴史を辿った良書。医学史的な観点からも、社会的な観点からも興味深い記述に溢れていて、大変勉強になった。

本書の帯には「わたしのからだは、誰のもの?」とある。この疑問文は、本書で取り扱われている問題の根底にある命題になっているのだろう。女性の身体は、その身体を持つ女性のもの、であるにも関わらず「人口問題」や「労働力の問題」といった観点から、言わば、社会的な所有物のように扱われ、そして経済的にも・政治的にも搾取されてきた。日々インターネットを使っているとフェミニストによる声は自然と目に入ってきて、その声は多くの場合、「怒りの声」として受け取られているように思う。本書を読むと、なぜ、彼女たちは怒らなくてはいけなかったのか、が腑に落ちるような気がした。

ただ、こうした感想を書き「興味深く読みました」とまるで他人事のように綴ってしまうことが、実際に闘争に関わってこられた人たちの目にどう映るのか、は悩んでしまうポイントでもある。ものすごく身近にある問題の深刻さを明示してくれる意味では良書だし、ウーマン・リブの活動家と障がい者団体とのあいだの緊張(障がいを持った胎児を中絶することを女性の権利だと訴える主張と、その主張が障がい者差別であるという主張の対立)などとても考えさせられるのだが「考えて、それで?」と問われると言葉に窮してしまう。

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