慧皎 『高僧伝』(3)

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高僧伝(三) (岩波文庫)
高僧伝(三) (岩波文庫)
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慧皎
岩波書店
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ちょっとあいだがあいてしまったけれど『高僧伝』の3巻を読む。6世紀ごろの中国のお坊さんが書いた、中国仏教の偉い人たちの記録である。3巻には、2巻に引き続き仏教の経典の解釈・註釈・講義をおこなって中国仏教の礎を築いた人たちを記した「義解篇」と、かずかずの奇蹟をほどこして仏教を広め、それによって治世に貢献した人たちを記す「神異篇」を収録。「神異篇」では、五胡十六国時代に後趙をうちたてた石勒と交流をもった僧侶、仏図澄(世界史の資料集にでてきた!)の奇蹟譚に多くのページが割かれています。

僧侶たちがおこした奇蹟は、予言や病気の治癒のほか「死んだはずなのにどこかで見かけた!(エルヴィスのようだ……)」だとか「一日に三百里歩く」だとか「どんなに歩いても足下が汚れない」だとかいろいろ。涸れた泉を復活させる人もいて、日本にも空海が杖で岩をついたら温泉が湧いた、みたいな話が残っていますし、キリスト教の聖人たちが残した逸話にも似たようなものが多々ありそう。各地に似たような話が転がっているのを考えると、昔の人たちがなにに困っていたのか、なにをすごいと思っていたのか、がわかるような気がします。

1巻の感想にも書きましたが、中国の場合、この手のエピソードに神仙思想の影響も強く感じられるのも楽しいですし、いろんな面白僧侶がでてくる。こうした短いエピソード集みたいな本は、トイレに置いて読んだりしたい。

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細野晴臣 / Heavenly Music

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Heavenly Music
Heavenly Music
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細野晴臣
ビクターエンタテインメント (2013-05-22)
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細野晴臣の新譜を聴く。2年前にリリースされた『HoSoNoVa』に引き続きの歌ものアルバムだが、今回は全曲カヴァー(1曲は吉田美奈子に提供していた曲のセルフ・カヴァー)。柔らかい中音域が印象的な音に整えられた本作は、「前に前に音がでてくる」マスタリングがなされた最近の音楽と連続して聴くと、異様にまろやかに耳にはいってくる。これも最新の音楽のはずなのに、アナログ感というか、古い音楽のような手触りがある。そしてそれが大変素敵である。取り上げられている楽曲は、ディランやThe Bandのような男泣きなフォーク・ロック、アメリカの古いポピュラー・ソングのなかに、Kraftwerkの「Radio Activity」、しかもジャズ・ブルース風の、をブチ込んだりとさまざまだが、音質的なやわらかさが全体を統一していて、細野晴臣の音楽として見事に仕上がっているように思う。

コシミハルや高田漣といったミュージシャンの起用もそうだけれど、制作された趣向は違っていても前作との強い連続性も感じ「細野晴臣、いい感じで年とってるなあ〜」とうらやましささえある。また、この時期に「Radio Activity」を取り上げることは、なんらかの政治性みたいなものを帯びざるをえないだろうけれども、このカヴァーには説教じみたメッセージの臭さというか、うっとうしさがなくて、なんともいえない感覚に落ち入る。異化された説教、って感じなのかな。うまく言えないけれども。これが老人力の余裕、なのだろうか。

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Beryl Smalley 『Study of the Bible in the Middle Ages』

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Study of the Bible in the Middle Ages
B. Smalley
Univ of Notre Dame Pr
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聖書、ここでは比喩ではなく、とくにキリスト教の教典である、あのテキストぐらいの有名なものともなれば、オリジナルのものが大昔から代々受け継がれてきたもの、のように思いがちです。しかしながら実際にはそうではなく、旧約聖書も新約聖書も、さまざまなテキストがいつのころからか、ひとまとまりのテキスト群として扱われ伝えられて今に至っているわけで、これはなんだか出所がぼんやりしたもの、と捉えられる。そのホンモノ、正真正銘のオリジナルはすでに失われており、現在普通に流通している聖書はかつての宗教会議などで「ひとまずこれを正典としておこう」と定められたものでしかありません。

ローマ・カトリックが用いるウルガータ聖書はラテン語訳なのも考えてみれば不思議な感じがするんですよね。あんな立派な宗教で、権威がありそうな人たちが「翻訳」に頼っている。神の言葉は何語でもかまわないのかもしれませんが、それが「原典」ではないのは、軽く心にひっかかる。果たしてそれは本当に正しいテキストなのか。そしてそれがたとえ正しく伝わっているテキストなのだとしても、たとえば旧約聖書の、物語とも、巨大な家系図とも、寓話集とも読める内容をどのように読めばよいのか。世界でもっとも有名な本のひとつでありながら、聖書は結構つかみどころがない。

イギリスの歴史家、ベリル・スモーリー(1905 - 1984)が1940年に発表した『Study of the Bible in the Middle Ages(中世の聖書研究)』という本は、西欧、とくにイギリスとフランスの修道士たちが中世のあいだに、このつかみどころのない本に対してどのような取り組みを重ねてきたのかを記したものです。

そこでは、聖書の記述が歴史的な事実なのか、それとも道徳的な教えを伝えるための寓話のあつまりなのか、など、聖書をどう読むかでどの立場をとるかで論争がある。あるいは、ユダヤ人たちと交流をもち、ヘブライ語を習ったり、ユダヤ教徒だけに伝わるもっともオリジナルに近いであろう解釈をキリスト教のなかでの聖書解釈に輸入しようとするアプローチもあれば、または、聖書の内容を日々の説教のなかでどのように表現し、伝えるのかのスタイルにもさまざまな違いがありました。

スモーリーが本書で描いた、聖書をめぐっての「読み、そして伝えていく歴史」は、そこに、なんだかよくわからないテキストに対する、原初的な情熱を帯びた探究心があったことをイメージさせてくれます。いま、わたしの家には、学習用国語辞典ほど分厚い聖書(新改訳版。ちなみに旧約聖書の後半のほうまで到達したまで、読み始めて3年ぐらいたってもまだ全部読めてない)がありますが、この本もそうした営みの延長線上にあるのかと思うとなんともロマンティックではありませんか。

中世の聖書解釈における重要人物などでもほっとんど知らない人物ばかりなので、なかなか読むのがしんどい箇所はありますが、終盤、アリストテレス主義がこの営みのなかでどう関わったのか記述した部分は急に盛り上がる感じがしますし、修道士たちの勉強模様なんかは端的に面白い。ところどころにラテン語がそのまま引用されている箇所があるので、ちょっとでも勉強しておくとより良いでしょう。古い本だけど英語自体はそんなに難しいとは思いませんでした。

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荒木飛呂彦 『ジョジョリオン』(4)

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ジョジョリオン 4 (ジャンプコミックス)
荒木 飛呂彦
集英社 (2013-05-17)
街という空間を利用した知能バトルが増えてきてどんどん楽しくなっている『ジョジョリオン』。少年向け週刊誌から離脱以降、どんどん女体表現のなまめかしさも増してるんだけれども、荒木先生は、女性の胸ぐらを掴んだときに胸元がはだけて「ハッ、これは!?」という流れが好きなのではないか……。そしてまだ4巻なのに、設定がいろいろ混み入りまくっていてだんだんついてこれない人がでてきそうな……。

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Vampire Weekend / Modern Vampires of the City

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Modern Vampires of the City
Modern Vampires of the City
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Vampire Weekend
Xl Recordings (2013-05-14)
売り上げランキング: 66
Vampire Weekendの新譜を聴く。いや、これは素敵だ。昨今のU.S.インディーのインテリっぽい感じの人たちらしい、いろんなテクスチュアの音を切り貼りして作った音像が、まるでネオアコのような爽やかさを醸しているのはこれまでと変わらず。しかし、セカンド・アルバムから骨太さにおいて大きな飛躍を遂げているところがナイスです。あと、メロディもゴキゲンでねえ……。4曲目「Diane Young」などは、80s' ヒット・ソングのなにか、変な言葉をもちいるならばショーギョー主義的にハートを掴んでくるメロディのパワフルさがございます。あるいは6曲目「Hannah Hunt」は、Yo La Tengoみたいに柔らかいし、9曲目「Worship You」のカントリー的な軽快さはとても愉しい。この季節の良い感じのキラキラ感にもぴったりなアルバムでしょう。

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Johnny Marr / The Messenger

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Messenger
Messenger
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Johnny Marr
Sony/Bmg (2013-03-12)
売り上げランキング: 5,165
「好きなギタリストは?」と聴かれたら、まず真っ先にジョージ・ハリスンとジョニー・マーの名前があがるぐらいはジョニー・マーのことは好きだけれども、とくにここ10年ぐらいでの彼の「あちこちで名前はでてくるが、どんな活動しているかよくわからん」具合には、よくわからないのでスルーしがちである。友人と飲んでると「ジョニー・マーって、いまなにしてんの?」とか飲んでて話題になることも多いんだけれど。最近は『インセプション』のサントラでもギター弾いてたし、Modest Mouseとか、The Healersとかどうなったんだ……(いきなり正式加入した系のバンドからは現在はいずれも脱退している模様)といったところで、ソロ・アルバムである。もう30年近くのキャリアがあって、これがソロ名義での初、という事実には、なんかいろいろやり過ぎだったのでは……という感慨が湧いてくる。

……とごちゃごちゃ言いましたが、良い曲を揃えてきたなー、と素直に喜べるアルバムでございましたよ。ほとんどジョニー・マー一人で楽器を演奏しているのだが、とにかく良いのは「これはどこからどう聴いてもジョニー・マーのギターであろう!!」という特徴的なギター演奏が、いたるところにちりばめられている点であって、それは言ってしまえば、The Smiths以降の彼の活動のなかでもっともThe Smithsの楽曲を彷彿とさせるのである。結局、なにやっても「元The Smithsの」という接頭辞つきで捉えられるのは、本人にとっては憤懣やるかたなし状態であろう、が、もうそれは仕方がないんです。別にThe Smiths再結成しねーかなー、と思うわけではない。でも、また良い曲が聴けて大変よい。とくにアコースティック・ギターとフェンダー系のシャッキリした音のストロークが重なって生まれるあの音には、条件反射レヴェルでグッときてしまう。

なお、録音にはジョニー・マーの娘であるジョニー・マーと、息子のナイル・マーも参加している。なんだかパーソナルなアルバムなんですかね。

追記

最近のライヴ映像。ふっつーにThe Smithsの曲やって、アンディ・ルークがゲスト参加までしているのね……。

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内田百閒 『ノラや』

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ノラや (中公文庫)
ノラや (中公文庫)
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内田 百けん
中央公論新社
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内田百閒と失踪した猫、そして入れ替わるようにして現れた猫との生活をつづった随筆集。わたしは猫を飼ったことがないし、実家で犬を飼っていたが大してかわいがりもせずにいた。それに対して、内田は自身を愛猫家とは認識していないにもかかわらず、猫のために涙を流す。自分のなかに共感できる要素はまるでないようだけれど、筆者の姿にじんとくるものはある。結局のところ、なにかを愛でる、という根本的な部分で通じてしまうのだろうか。あるいはなにかを失うということでもよい。これまで生活のなかに当然のようにあったものがなくなってしまったときの喪失感が、本書では百閒の滋味のある文章で捉えられている。それは特別に感情へと強く訴えかける文章ではない。むしろ、観察されたものを淡々と写すようである。そこにじんわりと染みてくるものがある。後日談的に語られる、失われたものを自然と弔うようにふるまう家族の様子まで読んでいると、なんだか、自分の祖父を数年前に亡くしてからのことと照らし合わせたくもなった。

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James Blake / Overgrown

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Overgrown
Overgrown
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James Blake
Republic (2013-04-04)
売り上げランキング: 283
聴いたことのない新しい音楽が聴きたくなってジェイムス・ブレイクの新作を聴く。ブレイクさんは、まだ24歳、すっげー若いんですね。先日ご紹介したルイス・コールのアルバムのライナー・ノーツには、ジェイムス・ブレイクとルイス・コールがソング・ライティングの面で並んで賞されており、前作の「テンション上がってきた」みたいなジャケットのアルバムは、話題になってんなー、と思いつつも聴く時期を逃しっぱなしであった。

で、この新作、当初「昨今の若者はこんな辛気くさい音楽を聴いているのかー」とやや受け止めきれずにいたのだが、聴いていて退屈じゃないし、耳あたりもよいし、で、繰り返し聴いていたら、複雑なビートの一方で静謐なムードを醸しだすこの独特な音楽に引き込まれていったのだった。元来この手のクラブ・ミュージックは門外漢でありつつ、「ダブ・ステップ」であるとか、なんとか、というテクニカル・タームにも滅法うといわたくしであるが、ブレイクさんの、ソフトなのだがソウルフルなテナーが、時間が経つにつれてよくなっていく。

こういう表現をつかうと、極端に安っぽくなるけれども、スピリチュアルな部分でなんだか深いなあ、と。ダニー・ハサウェイの『Extension of a Man』や、15世紀ぐらいの宗教歌曲をなぜか思い出しました。

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ガー・レイノルズ 『プレゼンテーションZen』

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プレゼンテーションZen 第2版
ガー・レイノルズ Garr Reynolds
ピアソン桐原
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システム業界のひとたちが集まって、1年ぐらいの研究活動をおこない、最期にプレゼン大会をやる、という活動に参加したことがある(今年の3月の話だけれども)。そこではわたしもプレゼンター役で40分ほどの発表をしていた。印象的だったのは、ほかのプレゼンターのパワポのデザインで、極端に文字が少なく、画像やグラフなどのビジュアル攻勢による画面のデザインは、わたしの用意していた、しゃべることの箇条書きパワポとまるで違っていた。その大会では順位づけもあったのだけれど、上位を総なめにしたのは、そうしたプレゼンターたちのグループだった。

「あーいうの、流行ってるんですかね。なんかジョブズみたいな感じの」と同じグループの人と感想を言いあってからしばらくして、書店でたまたま目にしたのがこの『プレゼンテーションZen』だった。「Zen(禅)かあ……なーんかいかがわしい」と思いつつ、手に取ってみたら「うわ、上位を総なめにしてた人たちのプレゼン、だいたいこの本が元ネタじゃんか……」と苦笑いし、ただ、やっぱりいかがわしい感じがするのでそのまま書棚に戻してから、数週間、なんの因果か仕事でプレゼン資料作ったり、セミナー資料を作ることが増えてきたので「よ、読んでみるか……」と購入した次第。

結果、結構良い本でしたね。これまで自分の発表は、とりあえず箇条書きで資料つくって(文字の紙芝居)、スライドをみながら即興的にしゃべる、という風にやってきたのだが(原稿を用意すると緊張するので)、この本に書いてあるようなスライドの作り方を真似して、たまたま用意していたセミナーの資料を作ってたら、かなりしっくり来てしまったのである。以前のやり方だと何度か練習してるうちに内容を固めていくしかなかったのが、本書で紹介されている絵コンテを作るようなやり方でストーリーを作っていくと、ひとりでも話が作れるじゃん! と当たり前のように気づく。

もちろんこれは発表全般に使えるオールマイティな知識体系ではない。本書でも触れられているが、紹介するデータが多い発表の場合はこの本のやり方を取り入れる部分が少ない。けれども画面のデザイン面でのアドバイスや、リスナーを巻き込んでストーリーを提示してあげる方法は役立つガイドになりそう。補足資料とプレゼンの画面ではグラフの作り方も違ってくるなど、やってみないと気づかないポイントの指摘も嬉しい(本に掲載されたグラフをじっくり読む場面と、発表のスクリーンに映されたグラフを見る場面では、思っている以上に見方が違う)。

プレゼンで、どう一対多数のコミュニケーションを成立させるか、これが成功の鍵なんですね。仕事でうまく使えると良いな。

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NEC AtermWG1800HP PA-WG1800HP

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NEC AtermWG1800HP(HPモデル) PA-WG1800HP
NEC (2013-04-30)
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軽量鉄骨のマンションから鉄筋コンクリートのマンションへの引っ越しをして、3ヶ月が経過。集合住宅であることには変わりないのだが、以前よりもWi-Fiの電波がめちゃくちゃに飛んでいて、自宅の電波よりも人の家の電波のほうがよくつながる(他人の家のWi-Fiなど、怖くて使いませんけども)、という謎の体たらくぶりを発揮していた我が家のインターネット環境だが、あまりに自宅電波がよわよわだったので、あらたにルーターを買い替えたのだった。BuffaloよりもNECのが良いよ、という話だったので、今回はNECの現行最新モデルにした。

最初のインターネット設定にプロバイダーのユーザーIDとパスワードがわからない(前に使っていた機種で、その手の設定を7年前にぐらいにしたっきり、あるいはその設定をしたかすら覚えていない)などでちょっとめんどうくさかったが、説明書通りに手順を踏んだらちゃんとつながりました。今回のモデルは2.5GHzと5GHzの2種類の電波帯が使用できるんだけれども、高い周波数帯だと障害物に弱くなるそうで、ルーター設置箇所から鉄筋コンクリート壁をふたつほど介したリヴィングではほとんど通信できず。大きいことは良いことだ! と思って5GHz帯に期待していたけれども、これは残念。無線LANの新規格、IEEE802.11acに対応している機械もない……。

家全体でインターネットがよくつながるようになって当初の目的は達成されたのは良かった(現在、自宅にWi-Fiルーターが一台あまってる状態なので、欲しい人いたらあげます)。

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Louis Cole / Album 2

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アルバム 2
アルバム 2
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ルイス・コール
BounDEE by SSNW (2013-05-08)
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南米の良質音楽(アントニオ・ロウレイロや、キケ・シネシ、カルロス・アギーレなどなど)をリリースしているレーベルNRTからの新譜。今回はアメリカはLA出身の26歳、ルイス・コールのセカンド・アルバムである。「ブライアン・ウィルソンを彷彿とさせる」というキャッチが気になって聴いてみたら、おお、これはまさに21世紀のソフト・ロックではないか、と非常に腑に落ちる内容であった。

冒頭、初期のシェーンベルクのようなロマン派末期的ストリングスから始まるのでなにごとかと思うが、その後はロー・フィデリティなサウンドメイキングに包まれた最高のポップ・アルバムである。ストリングス、コーラス、パーカッション、そしてベース・ラインから『Pet Sounds』だわ、これ、というのはビンビンに感じつつ、音像の荒れた感じは(ライナー・ノーツで高橋健太郎さんが書かれてるとおり)ベックっぽくもあって、すごく良い。『Pet Sounds』をまるっきりパクっているだけならば、面白いね、で終わりなんだけれども、それだけじゃないサムシングがあるんだよな。さっき、これを聴きながらシャツのアイロンがけをしていたら、あー、日曜日が終わってしまうー、とおセンチな気持ちになってしまったりもした。

ルイス・コールは、もともとはセッション・ドラマーとして活動しており、フライング・ロータスがらみの人たちやブラッド・メルドーとも共演歴があるそう。たしかなテクニックを持つドラマーで、独自の音楽感を作り上げているマルチ・プレイヤー(ヴァイオリンやチェロまで弾く……)というプロフィールは、アントニオ・ロウレイロとも重なる。こういう人を見つけて、リリースしてくれるレーベルがあることはありがたいことですよ。

関連

  • Louis Cole / NRT.JP
    • 日本盤レーベルでの紹介ページ。Youtube動画の曲紹介などもあります。「Bellow the valleys」はド名曲。

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NHKのラジオで、英語の勉強をはじめた

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今年度は4月からNHKのラジオでふたつの英会話番組をとおして、英語の勉強をはじめたのだった。結構真面目に英語の勉強をしはじめて3年ぐらいになったと思うけど「英会話」というジャンルには初めて手を出した。もともと「英語の本が読めるようになること」が英語に取り組み始めた最大の目的で、あんまり会話とか興味なかったのだが(第一英語で人と話す機会がない)、年に3回ぐらい「自分以外英語ができる飲み会(自分だけ日本語を喋っている)」みたいなことがあるので、やってみるかと。

テキストを買って聞いているのは『ラジオ英会話』と『英会話タイムトライアル』。どちらも初歩的な番組のだけれど、前者は「ミニドラマ + 解説」と普通の教育番組っぽいのだが、後者は「ラジオを通じて会話の瞬発力を鍛える」という変わり種。『ラジオ英会話』は、月〜金の15分。『英会話タイムトライアル』は、月〜金の10分と短いから、毎日できる(時間の都合上、『英会話タイムトライアル』は週末にWebでまとめて聞くことになるんだけれど)。どちらの番組も、ふっつーに「へー、こういうのって英語でこういうんだー」と勉強になって楽しいです。とくに『英会話タイムトライアル』のほうは、日常的なニュアンスであったり、イントネーションによって伝わる意味の変化などもフォローしていて、へえー、となる。

テキストは買ってないけども、NHKのテレビのほうでは『大人の基礎英語』(月〜木)と『ニュースで英会話』(木)を録画してみてます。『大人の基礎英語』は、太田エイミーさんが可愛くて、結構、それだけを理由に毎回観られてる気がする。あと『ニュースで英会話』は外国人の講師が、大学時代に英語のクラスの担当の先生だった……。

いまのところ、勉強の成果をだす機会がゼロなのだが、細々と続けられたらと思います。いや、今年からかなり激務モードになっているんだが、それでも続けられそうな感じがするので、どれもよくできた番組なんだと思う。テキストも安いしね。

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牛越博文 『よくわかる介護保険のしくみ』

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よくわかる介護保険のしくみ―2012年度改正に対応
牛越 博文
日本経済新聞出版社
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著者は元日本生命の職員の方。日本の介護保険制度について網羅的に掲載した資料。これ一冊読んだら大抵のことは把握できると思うし、2012年度からの制度改正における変更点から記述されているので、現行の制度がどういう方向を目指しているのかを知るにもなかなか役立つ。介護コストの説明で使われている資料が、基本的には横浜市が提供している資料を引用しているのにたいして説明が一切ないのは減点だけれど(介護報酬の単位が都市部だと高くなる現行制度では、横浜市は上から3番目のランクになる。よって、全国平均と比べたら介護サービス費用はちょっと高くなるハズ)ほかは悪くない。

  • 地方自治体へ運営主体を移行
  • 介護サービスの効率化
  • 被保険者負担の平準化

介護制度の変更ポイントをものすごくざっくりまとめると以上の3点になるだろうか。このなかには介護するほう(つまりサービスの提供者)も、されるほうも大変なイメージのある認知症介護に対して報酬要件が増えていたりする。著者の主観というか、分析はあまりはいってないので、上記でわたしがあげたようなポイントを押さえた傾向だけ知りたい人はもっと解説チックなテキストがオススメ。自分も、自分のまとめが正しいかどうか検証しないといけないので、もう一冊ぐらい介護制度についての本を読んでみたい。

えーっと、仕事関連の本です。

追記
各自治体で発行している介護関連の資料とあわせながら読むと、すごくよくわかって良い!

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Massacre / Love Me Tender

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Love Me Tender
Love Me Tender
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Massacre
Tzadik (2013-04-23)
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TzadikからリリースされたMassacreの新譜を聴く。1999年のヨーロッパ・ツアーから、直近では2008年のライヴ音源をコンパイルした本作は、チャールズ・ヘイワード在籍後の活動を追った内容と言えるだろう。先日の来日公演のテンションはこのアルバムにももちろん共有されていて、演奏は非常に多様なのだが、全体を一言でまとめるならば「This HeatとMaterialに影響を受けたバンドが、フリーキーなギタリスト共演!」とメンバーの経歴をそのまま表現したものになってしまう。

聴いていて、フレッド・マー在籍時の『Killing Time』とはまるで違うバンドだったのだなあ、このバンドは、という感慨が一番強い。いきなり未体験ゾーンに突っ込んでいく荒々しいスピード感は、いまのMassacreにはない。その一方で、機材などの変化にともなって、3人でだせる音の自由度は現在のほうがずっと高くなっていることに気づく。変わらない点といえば、演奏の密度なのだろう。

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