菊地成孔 『時事ネタ嫌い』

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時事ネタ嫌い
時事ネタ嫌い
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菊地 成孔
イースト・プレス
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菊地成孔、今年2冊目の著作は雑誌『FRaU』で連載されていた時事エッセイをまとめた単行本。今年の1冊目が『あなたの前の彼女だって、むかしはヒョードルだのミルコだの言っていた筈だ』で、かなり読み手を選ぶ格闘技本であったのに対し、こちらは読み手を選ばない菊地成孔の著作のなかでも最もライトな部類に入るものになるでしょう。本書で55年体制の崩壊が2009年の民主党による政権交代ということになっており、その点、ホントに著者の『時事ネタ嫌い』が推し量れるけれど、2007-2010年、震災前になにがあったのかを振り返りながら、ダラダラと時間をつぶすのにちょうどいい温度。

帯にはこんな文章が載せられている。
〈震災前夜までのニュース〉の数々
不二家の3秒ルール/ミートホープ事件/船場吉兆/石原都知事就任/安倍首相バックレ辞任/練炭自殺/アキバ通り魔事件/リーマンショック/豚インフルエンザ/毒ギョーザ/普天間/大相撲と世間/小沢マスク/55年体制最後の自民党総裁マンガ顔の麻生太郎/宇宙人としての鳩山/「ミシュラン東京」発売/オリンピック誘致失敗/「サロン・デュ・ショコラ」のコミケ化/死刑になりたくて殺人/ガザ地区空爆/ベストドレッサー市橋/尖閣
↑こうした現象たちと現在は、どう繋がれ、切断されているのか?
あたかも2011年3月11日の地震とそれに伴う原発事故により、日本の社会は一変してしまったという風に語られがちである。が、本書を読むと、地震による断絶などなく、リニアにイヤな感じが繋がりまくっている感覚に陥ったりもする。さまざまな問題が解決されないまま残っていることももちろん、イヤな感じは日に日に高まってさえいるかもしれない。変化している、といえば「地震」というメタファーやアナロジーを(それ以前にも大きな地震はたくさん起きていたのに)使いにくくなっている、という言葉に対する感覚の変化だろうか。大相撲ファンとしては『あなたの前の彼女だって……』と同様、角界のスキャンダルと釈然としない対応と反応について、ほのかな怒りを伴って振り返ったりもした。このほのかな怒りは、もしかしたら時事ネタを嗜む醍醐味なのかもしれない、とも思う(自分と無関係なものに対しても、怒ってみせる、というのはとても社会的な振る舞いであるような)。

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